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建築業界の仕事(4)「建築士に向いているのは、どんな人?」
建築士に必要な適性とは・・・
建築士は資格を取得してもなお、たゆまぬ努力が必要な仕事だといえます。
それでは、どんな性質の人が建築士に向いているのでしょうか。
今回は建築士の適性についてお話したいと思います。
●美術的センスがある人
建築士の仕事をする上で最も求められるのは、美術的なセンスです。
建築物の造形や内装や外装、カラーリングなど、ディティールに至る
までのすべてが、建築士の腕一つに委ねられると言っても過言では
ありません。
センスというと持って生まれたものと思われがちですが、努力に
よっていくらでも磨くことができます。
過去~現在に至るまでの様々な建築物はもちろん、絵画や彫刻など
様々な芸術や哲学に触れることで感性は研ぎ澄まされてゆきます。
大切なのは、貪欲に知識を吸収しようとする姿勢です。
●数学や物理など、理系科目が得意な人
建築士の仕事には、色々な理系の知識が求められます。
構造力学は、建築物の安全性を確保する上で欠かせないものですし、
塗料や資材との関連で化学にも精通していなくてはなりません。
その他、地学や生物学などを熟知している必要もあります。
こういった幅広い学問への関心が高いことも、建築士には欠かせない
要素です。
●コミュニケーション能力が高い人
建築士は、室内にこもって製図をすることだけが仕事ではありません。
依頼主や施工業者と話し合いを重ねながら、より良い建築物を目指して
いくことも、建築士の欠かせない仕事の1つです。
そのためには、依頼主の希望を上手に聞きだしたり、施工業者とスムーズに
打合せを進めるコミュニケーション能力が不可欠です。
そういった意味では、人と関わるのが好きな人は、建築士に向いているでしょう。
●正義感が強く、社会的モラルが高い人
2005年、一級建築士が構造計算書を改ざんし、耐震性を偽装していた
ニュースがセンセーショナルに報じられました。
建築物は社会性を有するものだけに、建築士には社会的責任感も強く
要求されます。
地震が多発する日本では、耐震性を始めとした建築物の安全性の確保は
欠かせません。
建築士は建築業界の中核的存在として、強い倫理観を持って仕事に臨める
人でなくてはなりません。
いかがでしょうか?
こうやって見ていくと、社会の役に立ちたいと心から思える人こそ、
建築士向いているといえるかもしれません。
次回は、建築士の仕事のやりがいと苦労について解説していきます。
建築業界の仕事(3)「建築士になるには、どうすればいいの?」
Hello world!
建築業界の仕事(2)「建築士には、どんな種類があるの?」
●建築士は国家資格が必要な仕事。
建築士とは、国家資格である建築士資格を有し、設計や監理を
仕事とする人のことを指します。
しかし、ひと口に建築士と言っても、資格が分かれており、
手がける建築物の種類に制限があります。
今回は建築士にはどのような資格があるのかを詳しくみていきましょう。
●まずは「2級建築士」を目指そう
2級建築士は、建築士を目指すなら、まず最初に目標にしたい資格です。
戸建住宅や事務所の用途であれば、木造3階で1000㎡まで、
鉄筋コンクリート造や鉄骨造でも300㎡までの建物を設計することができ、
かなりの規模まで2級建築士資格で設計することが可能です。
以前は無資格者でも図面作成業務に関わることができていましたが、
耐震偽装事件を契機に建築士法が改正されてからは、建築士の責任を明確に
することが求められるようになりました。
そういった現状をふまえると、建設業界で長く設計業務に携わるためには、
2級建築士資格の取得は必須だといえるでしょう。
●目標にしたい「1級建築士」
上記のように、2級建築士でもかなりの規模までの建築物を設計できます。
しかし、学校や病院、マンションなどの特殊建築物を設計するには、
1級建築士の資格が必要です。ハウスメーカー以外に就職する場合は、
最終的には1級建築士の資格取得を目標にしましょう。
近年、不動産業界では一戸建ての需要が伸び悩んでいます。かつてのように
「マイホーム」を持つことを目標にする人は少なくなり、マンション購入を
選択する人が増加、都会ではタワーマンションの建設が相次いでいます。
そんな中で、1級建築士は重要な役割を担っているといえるでしょう。
合格率10%と非常に狭き門ではありますが、目標にしたい資格です。
●「一級建築士」の上位資格とは
2009年、1級建築士の上位資格として、構造設備1級建築士と
設備設計1級建築士資格が新設されました。
構造設備1級建築士は、高さが60m越の建築物や鉄骨造で地上階数4階以上、
もしくは、RC造かSRC造で高さが20m越の建築物のスペシャリスト、
設備設計一級建築士は、階数が3階以上で5000㎡越の建築物の専門家です。
これらの資格の新設により、上記の規模の建築物については、
構造設備一級建築士と設備設計一級建築の関与が不可欠になりました。
高度な知識が必須のため、いまだ有資格者が少なく、取得すれば一躍有用な
人材となれるでしょう。
建築物の安全性が問われる今、意匠設計に比べて裏方に回ることが多かった
構造や設備に関わる設計者の役割が非常に注目されています。
転職や独立をする場合にも、非常に有利に働くことは間違いありません。
●力試しに受験したい「木造建築士」
木造の建築物限定の資格として、木造建築士という資格もあります。
その名の通り、携われるのは木造の建築物に限られる上、1~2階建てで
300㎡以下という構造制限もあるため、かなり限定された範囲の建築物に
しか携わることができません。
そのため、有資格者もとても少ないのが現状です。しかし合格率は40%と
高いので、勉強がてら力試しで受験するのも良いかもしれません。
いかがでしょうか?
ひと口に「建築士」といっても、様々な資格があり、携われる建築物にも制限が
あることが理解いただけたかと思います。
次回は建築士の目指し方について解説していきます。
建築業界の仕事(1)「建築士はどんな仕事をしているの?」
戸建て住宅から高層ビル、公共施設や商業施設まで、日常生活で
目に入るものの殆どが建築物といっても過言ではないでしょう。
そんな建築物をつくる仕事の中心にいるのが建築士です。
しかし、建築士と一言でいっても実際は様々な仕事内容がありますので、
今回はそのあたりを少し整理していきたいと思います。
●建築士の仕事は「設計」と「監理」
建築士の仕事は大きく「設計」と「監理」の2つに分けられます。
まずひとつ目の「設計」は、依頼主の必要としている建築物を
具体的化する作業です。
依頼主から建築の目的や用途・必要な機能や性能などをヒアリングし、
それを整理した上で、平面プランから高さ方向の断面プラン、外観の
意匠プランを作っていきます。
この段階は、一般的に企画設計とよばれ、次に説明する実施設計と
区別されます。
その実施設計は、提案したプランを依頼主が了解した後、実際に
建築するために必要な設計作業のことで、各部分の詳細な図面を
描いて施工会社に引き継ぎます。
そしてもうひとつの「監理」とは、実際の建築物の品質や仕上がりを
設計通りに実現するための作業で、工事が図面の指示通りに行われて
いるか、寸法などの精度が出ているかを現場で確認し、状況に応じて
修正や変更を行い完成までクオリティのコントロールをする仕事です。
個人が建てるマイホームはもちろん、企業が建設するオフィスビルで
あっても、依頼主にはデザインや内装に対する夢やこだわりがあります。
依頼主と話し合いを重ねながら、そういった希望を実現するための
アイデアを提供し、時には安全性や予算にも配慮しながら、具体的に
計画を立てていくのが建築士の大切な仕事です。
そして図面が完成したら、工事が計画通りにきちんと行われているかを、
設計者の立場から確認することも重要な業務です。
工事が正しく行われていない場合は、施工者に注意を喚起し、指示に
従わない場合は、依頼主に報告します。
施工者が建築費を安く上げて不当な利益を得たり、手抜き工事などの
不正を防ぐことも、建築士に求められる役割なのです。
それでは、建築士を目指すにはどういった方法があるのか、
次回はそのあたりを具体的にお話ししたいと思います。