建築士として転職し採用されるためには?

2022-07-20

建築士として採用されるためには?

建築・インテリア業界の花形的な職業といえば、建築士。
建築士は大手ゼネコンから中小の工務店、設計事務所など多彩な現場で活躍していますが、そもそも建築士として採用されるにはどうすれば良いのでしょうか。
今回は建築士として採用されるまでのステップやどのような採用の形があるのかについてみていきましょう。

ステップ①:建築士資格を取得しよう

建築士として採用されるためには「1級建築士」か「2級建築士」、「木造建築士」のいずれかの資格を取得する必要があります。
そしてこれらの建築士試験の受験資格を得るためには、一定の学歴や実務経験が求められます。
それでは受験資格を得るためには、それぞれどのような条件が必要となるのでしょうか。
例えば従来は1級建築士の受験資格は、所定の「実務経験」と「学歴」の両方を満たして初めて認められていました。
しかし令和2年に建築士法が改正され、「実務経験」が受験時の必須事項ではなくなり、1級建築士として免許を登録する際に必要な条件となりました。
つまり「学歴」要件を満たしているならば、学校を卒業してすぐに受験資格を得ることができるようになったということです。
具体的に言うと、大学卒業~受験~実務経験2年~免許登録という流れで1級建築士の免許を取得することが可能となりました。
そして、実務経験の年数は試験前後で通算することが可能なので、大学卒業~実務1年~受験~実務1年~免許登録、というステップでも1級建築士免許を取得できます。
2級建築士の受験に関しても、建築や土木に関する学歴に応じて必要となる実務経験の年数が定められています。
2級建築士の受験資格も1級建築士と同様に、令和2年に建築士法が改正されたことに伴い受験資格が変更され、学歴要件を満たしている場合は実務経験なしで受験することができるようになりました。

ステップ②:資格を取得したら、技術を磨こう

建築士の資格を取得して採用されただけでは、あくまでも建築士としてスタートラインに立ったに過ぎません。
建築士として長く活躍するためには、地学や構造力学・建築基準法といった設計業務等に関する基礎的な知識だけでは難しいでしょう。
資格を取得した後も、CADを始めとした様々な実務スキルや優れた設計デザインを生み出すセンスや技術を磨いていく努力は必要不可欠です。
インテリア・建築業界は実力主義の厳しい世界。
知識やスキルはもちろん、他の建築士と差別化がはかれるような独自性や、オリジナリティ溢れるアイデア力がなければ建築士として成功するのは難しいでしょう。
関連法律も頻繁に改正されていくので、知識や技術、発想力やセンスなど、建築士として働き続ける限り能力や技術を磨き続けることが求められるでしょう。

ステップ③:1級建築士を目指そう

建築士として企業に採用された多くの人は、最終的には1級建築士資格の取得を目指す場合が殆どです。
1級建築士資格は2級建築士よりもさらに受験要件が細かく定められており、合格率は10%を切る非常に難関な資格。
現実的に1級建築士を取得するには、大学や短大、及び専門学校いずれかの学校で建築を学び、卒業してからすぐに2級建築士の資格を取得した上で、2年間の実務経験を積み1級建築士を取得するルートが最も一般的です。
1級建築士の資格を取得するには相応の努力が必要となりますが、上記のルートを辿ることで20代のうちに1級建築士の免許を取得することも十分可能です。
1級建築士の資格を取得することで、より条件の良い企業に採用されやすくなるので是非早めの取得を目指したいところです。

建築士はどのようなところで採用されるの?

ここまでは建築士として採用されるためにどのようなステップを踏めば良いかをみてきました。
続いては、どのような企業や公共機関が建築士を採用しているのかをみていきましょう。

大手ゼネコン

ゼネコンとは、元請業者として一土木工事や建築工事を発注者から請負い、工事全体を取り纏める建築業者のことを指します。
日本においては、第2次世界大戦後の高度経済成長期に建設需要が飛躍的に伸びたことで、多くのゼネコンが急成長を遂げました。
一方でバブル崩壊後には建設需要が低迷したことや構造改革によって政府による公共事業が縮小し、1990年代後半~2000年代初頭には準大手以下のゼネコンが経営破綻に追い込まれたり、銀行などの債権放棄によって何とか倒産の危機を免れたゼネコンも多くありました。
日本においては建設会社のうち、鹿島建設・大林組・大成建設・清水建設・竹中工務店の大手5社を、その長い歴史や規模などからスーパーゼネコンと呼んでいます。
企業によりますが、大手ゼネコンの場合は設計部のオフィスは全国各地にあり、所属している建築士の数はスーパーゼネコンで200〜300名程度、準大手ゼネコンの場合は50〜200名程度と言われています。ゼネコンはネームバリューがあり手がける建物は多岐に亘りますが、主な案件は入札で勝ち取ってきた民間の個人や法人企業、そして公共事業の案件などです。
また分業体制が徹底しているため、雑務に時間を浪費することもなく設計業務に没頭できるというメリットもあります。
しかしゼネコンで扱う建築物は機能性を重視したものが多く、デザイン性や意匠性に重点を置いたものが少ないという特徴があるため、個性的な建築物の設計に興味がある場合はゼネコンへの就職は避けた方が良いでしょう。

設計事務所

建築士の採用先として、真っ先に思いつくのが建築事務所や設計事務所という方も多いのではないでしょうか。
しかし一口に設計事務所や建築事務所といっても、少人数のスタッフで運営されている個人事務所から全国各地に展開している大手の事務所まで様々な業態があります。
また各事務所が得意としている建築分野も千差万別なので、自分がどのような建物を設計したいのか、どのような設計が得意なのかを熟慮した上で就職先を選んでも良いでしょう。
設計事務所や建築事務所の求人では「大学又は大学院卒」「2級建築士免許保持者」などを応募条件にしているところも多くあります。
設計以外の雑務も多く、労働時間は長い傾向にあり、給与は600万円程度が相場だと言われています。

ハウスメーカー

ハウスメーカーとは住宅メーカーとも呼ばれ、全国各地で広範囲に展開する住宅建設会社のことを指します。
飯田産業や住友林業などはテレビCMも頻繁に流しており、聞き慣れた企業名も多いため、想像し易い場合も多いでしょう。
一般的にハウスメーカーでは設計部門や施工部門が分かれており、採用のハードルも低いという特徴があります。
ハウスメーカーのお客様は土日祝日が休みの場合が多いので、打合せのために土日は出勤の場合が殆どです。
そのかわり火曜日と水曜日の平日休みで週休二日制がとられています。
規模の小さなハウスメーカーの場合は、営業や施工といった専門外の仕事を建築士が兼務するケースもあり、設計以外の雑務に追われることもあります。
大手ハウスメーカーの場合、平均年収は800万円程度と言われています。

公務員(官公庁)

意外に思われる方も多いかと思いますが、建築士資格を持っていれば、公務員として専門職に採用されることも可能です。
具体的には県庁の都市開発部門や市役所の技術職として勤務するという選択肢があります。
日本各地の様々な自治体でこのような専門職の採用を行っているので、希望する自治体がある場合は調べてみましょう。
なお建築士資格を活かして公務員として場合は、建築物を設計する業務というより、自治体の持っている建物のメンテナンスや新たに建設される建物を審査する仕事が主となるでしょう。
公務員として働くメリットとしては福利厚生が非常に手厚く、ワークライフバランスを取りやすいという点があげられます。
建築分野で働く公務員の平均年収は700~800万円程となっています。

住宅関連の設備メーカー

住宅関連の設備メーカーも建築士を積極的に採用しています。
特に建材を中心としたインテリアの内装材や住宅設備機器の製作を行う企業で建築士を歓迎する求人が出されています。
空調設備のメーカーなどでは、建築の知識があると貴重な人材として評価されることが多いです。
こういったメーカーの仕事は、音環境や熱環境などの専門知識を活かして仕事をしたい人にはおススメです。
なお、住宅関連の設備メーカーの平均年収は600万円程度で、業績が好調の企業の場合は900万円程度です。

様々な採用の形があるので、自分に合った働き方を見つけよう

いかがでしょうか?
今回は建築士として採用されるまでのステップや建築士を採用する企業や公共機関についてみていきました。
様々な採用の形があるので、自分に合った働き方を見つけてくださいね。

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