5月, 2022年
インテリアコーディネーター資格!独学で取得するための勉強法とは?
インテリアコーディネーター資格試験の概要
インテリア業界で働くなら、是非とも取得しておきたいインテリアコーディネーター資格。
今回はインテリアコーディネーター資格を独学で取得する勉強法を解説します。
まずはインテリアコーディネーター資格試験の概要をみていきましょう。
インテリア産業協会によって認定される民間資格
インテリアコーディネーターとは、インテリア産業協会によって認定される民間資格の名称を指します。
インテリアコーディネーターの主な仕事は、「住宅や店舗、オフィスなどを新築またはリフォームする際に、快適な空間を提供するために適切なアドバイスや提案を行うこと」です。
民間資格であるためインテリアコーディネーターとして働くためには資格の保持は必須ではありませんが、資格を持っていることで就職や転職に有利に働きます。
特に異業種からの転職を目指される方や、建築業界での就職を目指されている学生の方には、是非取得して頂きたい資格です。
受験資格も特に必要ではないため、受験へのハードルは低いといえるでしょう。
試験は年に一度で、難易度はやや高め
インテリアコーディネーター資格試験が行われるのは、年に一度。
試験は一次と二次に分かれており、一次試験は毎年10月の第二日曜日に行われ、二次試験は毎年12月の第一日曜日に行われています。
一次試験は全50問のマークシート式の学科試験です。
一次試験では、インテリアや建築に関する幅広い知識が問われます。
二次試験では、インテリア製図を作成するプレゼンテーションと論文の試験が行われます。
二次試験では一次試験で問われた知識を応用し、様々な知識を実際の仕事現場で活かすための技術が問われるといえるでしょう。
一次試験は一度合格すると翌年度以降3年間一次試験免除措置が取られるため、ますは一次試験の突破を目指すことが大切になってきます。
受験資格や年齢制限が設けられていないため、誰でも受験が可能なインテリアコーディネーター資格試験ですが、合格難易度はやや高めです。
2021年度に行われた第39回のインテリアコーディネーター資格試験の場合、一次・二次試験通しての合格率は23.5%でした。
一次の学科試験は9,640名が受験して3,166名が合格しており、合格率は32.8%でした。
二次のプレゼンテーション・論文試験では、2021年度に一次試験に合格し二次試験の合格を目指す受験者2,725名と、一次試験免除措置受験者1,226名の合わせて3,951名が受験し、2,334名が合格となっています。
結果を見てお分かり頂けるように一次・二次試験を通して一発合格を目指すには、しっかり対策を立てて学習に取り組む必要があるといえるでしょう。
インテリアコーディネーター資格は、独学で取得可能なの?
ここまでみてきたように、インテリアコーディネーター資格の取得は簡単ではありません。
それではそもそも、インテリアコーディネーター資格は独学でも取得可能なのでしょうか。
結論から言えば、インテリアコーディネーター資格は独学でも取得可能です。
しかし難易度が高い試験なので、しっかり学習計画を立てて学習を進めていく必要があります。
ますは、一次試験の勉強法からみていきましょう。
一次試験対策には、参考書と過去問題が必須
インテリアコーディネーター一次試験のおススメ参考書・過去問題集はこちら!
一次試験は全50問のマークシート方式の学科試験です。
問題はインテリア産業協会が出版している『インテリアコーディネーターハンドブック上巻・下巻』から出題されます。
ですので、まずはこちらを購入しましょう。
『インテリアコーディネーターハンドブック 総合版 上』
公益社団法人インテリア産業協会 定価4,730円(税込)
『インテリアコーディネーターハンドブック 総合版 下』
公益社団法人インテリア産業協会 定価4,730円(税込)
過去問題にはハンドブックに記載された文章がそのまま出題される事例も多くありました。
そのため、隅々まで読み込むようにしましょう。
ハンドブックを読み込んだら、続いては過去問に取り組みましょう。
『インテリアコーディネーター1次試験 過去問題徹底研究 上巻』
著者名 HIPS合格対策プロジェクト編
(株)ハウジングエージェンシー出版局 定価3,080円(税込)
『インテリアコーディネーター1次試験 過去問題徹底研究 下巻』
著者名 HIPS合格対策プロジェクト編
(株)ハウジングエージェンシー出版局 定価3,080円(税込)
過去問題集は様々な出版社から出ていますが、こちらは最新の5年間分がわかりやすくまとめられているため、おススメです。
一次試験は過去問と似たような箇所から出題される傾向があるため、何度も繰り返し解くようにしましょう。
一次試験の効果的な勉強法とは?
独学で一次の学科試験に挑む場合の効果的な勉強法は、過去問題集5年分を最低10周解が解くことです。
インテリアコーディネーターの一次試験の出題傾向は、過去問題集を解く事で掴むことができます。
そのため問題と答えを暗記することができると、学科試験に合格する可能性は高くなります。
また過去問を繰り返し解く事で、速く問題を解く力を身に付けることが可能です。
インテリアコーディネーターの一次試験では、160分で50問の問題を解かなくてはいけません。
換算すると、1問を3分程度で解いていく必要があるため、素早く解答する力も重要となってきます。
そのためにも、過去問題5年分を10周は必ず解いておきましょう。
二次試験対策は、製図重視で学習を進めよう
二次試験対策は、一次試験が終わってから行うため、より効率的に学習を進める必要があります。
一次試験が終わってから、二次試験までは約二ヵ月。
二次試験の内容はインテリア製図の作成を求められるプレゼンテーション試験と論文試験から構成されています。
どちらも、一次試験で問われた知識をより実践で活かす力が求められる試験となっています。
それでは、二次試験はどのように対策すればよいのでしょうか。
インテリアコーディネーター二次試験対策におススメのテキストはこちら!
二次試験対策で最も重要となってくるのは、インテリア製図の作成技術が問われるプレゼンテーション試験。
プレゼンテーション試験の対策におススメのテキストがこちらです。
『インテリアコーディネーター資格試験 はじめてのインテリア製図 合格する図面の描き方 第4版』
著者名 星野智子
(株)ハウジングエージェンシー出版局 定価2,750円(税込)
こちらのテキスト一冊で、インテリア製図の問題への対策が可能です。
解説が非常に充実しており、インテリア製図に初めて取り組む方にも最適なテキストであると言えるでしょう。
製図の基本から試験に向けた実践的な図面の描き方まで幅広く学ぶことが可能です。
『インテリアコーディネーター2次試験 一番わかりやすい合格論文入門 第12版』
著者名 HIPS合格対策プロジェクト
(株)ハウジングエージェンシー出版局 定価2,750円(税込)
この参考書では、二次試験対策でついつい後回しになりがちな論文の対策をすることが可能です。
原稿用紙の使い方といった基本的な部分から、論文の書き方の手順に至るまで、詳しく説明されています。
論文を書き慣れていない人は、この参考書を準備しておけば基本から学ぶことができます。
また、過去の実際の試験問題のうち6問がピックアップされており、16通りの添削が掲載されています。
テキストに沿って学習を進めていくことで、書き方のバリエーションを増やすことができるでしょう。
インテリア製図はトレースすることから始めよう
初心者には難易度が高いインテリア製図ですが、まずは平面図と展開図の練習から始めましょう。
初めのうちは、テキストを読みながら図面をトレースすること(真似て書いてみること)がおススメです。
グリット(マス目)や1/50で描かれている図面を見慣れることから始め、線の描き方や手順などを覚えていき、早く描けるように練習していきましょう。
そして描くスピードが速くなってきたら、過去問題を解いていきましょう。
ここで大切なのは、問題の条件を見落とさないように丁寧に描いていくことです。
インテリアコーディネーターハンドブックにはベッドやテーブルなどの規格寸法が記載されているので、覚えておくと便利でしょう。
論文試験の対策は、インテリア製図の合間に行うという気持ちで取り組みましょう。
初学者の場合の勉強時間は、300時間必要
インテリア・建築業界未経験者の場合は、インテリアコーディネーター資格試験の合格までに、最低でも300時間程度の学習時間が必要になると言われています。
学習時間の配分は、一次試験対策に200時間程度、二次試験対策に100時間程度が求められます。
しかし300時間は最低限の時間であるので、仕事の都合や学習の進み具合によっては更に時間が必要となるケースもあります。
期間としては、平日に1日1~2時間程度学習を行うと仮定して、5ヵ月~10ヵ月程度はかかると言われています。
ここまで時間がかかる理由としては、試験範囲がとても広く覚えなくてはいけない量が多いことが挙げられます。
難しい専門用語なども頻出するため、業界未経験の方は時間をかけてインプットをしていくのがポイントです。
独学で資格取得を目指すメリットとは?
それでは、独学で資格取得を目指すメリットには、どのようなものがあるのかを見ていきましょう。
メリット①:マイペースで学習を進められる
マイペースで学習を進めることができるという点は、独学の大きなメリットだと言えます。
独学の場合は専門学校や通信講座のようにカリキュラムが組まれていないため、自分のペースで学習を進めることが可能です。
特に、仕事が多忙で急遽予定が入ったりする人は、隙間時間を上手に活用できるので独学がおススメです
学習の進め方を柔軟に考えることができるため、独学に慣れしている方にとっては効率的と言うこともできます。
苦手分野を時間をかけて学習したり、得意な部分には時間をかけないというようにメリハリをつけて学習ができるでしょう。
メリット②:コストをおさえられる
独学で資格取得を目指す最大のメリットは、専門学校や通信講座に比べて学習のコストを圧倒的におさえられることです。
参考書の購入には費用がかかりますが、それでもトータルで考えると専門学校や通信講座で学ぶよりも安い費用で済みます。
コストをかけずにインテリアコーディネーター資格取得を目指す方は、独学で挑んでみることがおススメです。
独学で資格取得を目指すデメリットとは?
それでは逆に、独学で資格取得を目指すデメリットにはどんなものが挙げられるでしょうか。
みていきましょう。
デメリット①:スケジュール管理が難しい
独学の場合は予めカリキュラムが準備されていないため、自分で学習のスケジュールを立てる必要があります。
「何となく」や「大まか」なスケジュールを立ててしまうと、実現が難しい日程を組んでしまったり取り組む問題量が不足する場合もあります。
インテリアコーディネーター資格試験は試験範囲がとても広いので、詳細な学習スケジュールを立てることが求められます。
スケジュールの立て方を間違えてしまうと、試験の本番までに試験範囲を網羅できないという事態もあり得ます。
そのためスケジュール管理の難しさが、独学の一番のデメリットであると言うことができます。
デメリット②:モチベーションを維持しづらい
インテリアコーディネーターの資格取得のためには、300時間以上の学習が必要だと言われています。
試験範囲が非常に広いので、学習期間も長期化すると考えられます。
そんな中、数ヶ月先の資格試験を見据えて気持ちのモチベーションを保つことは非常に困難であり、挫折しなよう、注意をする必要があります。
また、専門学校に通学する場合とは違い、目標を共有できる仲間がいないという側面もあります。
独学で学習を進めていると孤独を深めてしまうので、モチベーションを維持できなくなる場合もあります。
デメリット③:疑問点の解決が難しい
インテリアコーディネーター資格試験では専門用語も数多く出題されるため、用語を理解するだけでも苦労します。
独学で学習を進める場合、難しい専門用語が出てきても教えてくれる講師がいないので、疑問点は自分で解説していくしかありません。
しかし、初心者は分からない用語などが出てきた際、後回しにしてしまう傾向があります。
分からない問題は放置すればするほど増えていき、挫折感を感じてしまいやすくなります。
独学の場合は、しっかり対策を立てて学習を進めよう
いかがでしょうか?
今回は独学でインテリアコーディネーターの資格取得を目指すためのコツや注意点をみていきました。
ぜひ参考にして、資格取得を目指してくださいね。
インテリア業界の動向や人気の仕事内容について解説します!
インテリア業界はどのような仕組みになっているの?
インテリア業界で働きたい方にまず行って頂きたいのが業界研究です。
インテリア業界がどのような仕組みになっているのかをしっかり理解し、業界への認識を深めていきましょう。
テーブルや椅子、ベッドなどの様々なインテリアエレメンツは、まず「インテリアメーカーに」よってデザイン・企画されます。
そして「インテリアメーカー」でデザイン・企画された様々なインテリアは、「製造企業」によって製作され、再び「インテリアメーカー」に納品されます。
その後「インテリアメーカー」が「小売店」にインテリア商品を販売し、「小売店」からエンドユーザーである「消費者」に届けられます。
インテリア業界にはインテリア商品を専門的に取り扱う製造企業や小売店がありますが、今回は「インテリアメーカー」を中心に説明していきます。
インテリアメーカーは大きく分けて「日系」と「外資系」、または「家具中心のメーカー」と「雑貨中心のメーカー」に分類することが可能です。
日系
日系企業で代表的なものには、「ニトリ」と「良品計画」が挙げられます。
こういった大手企業の場合は、商品の企画から製造・流通、そして販売までをノンストップで行っている場合が殆どです。
インテリア業界には大手以外の中小企業も多く、各々がある分野に特化して企業のオリジナリティを武器にしていることが特徴です。
こういった企業の中でも、程良いレトロ感とぬくもりのある色遣いが魅力の「カンディハウス」や抜群の座り心地と機能性、デザインの美しさを売りにしている「イリア」等が代表的なものであると言えます。
外資系メーカー
外資系企業で知名度が高い企業としては、「イケア」が挙げられます。
国内のシェアに関しては日系企業には及びませんが、国内のメーカーでは見かけないような海外ならではのデザインや鮮やかなカラーを用いた商品が多く揃うというのが特徴です。
サイズ感も比較的大きめの商品がラインナップされています。
家具中心のメーカー
家具を中心に扱う企業としては、「ニトリ」や「オカムラ」、「カッシーナ・イクスシー」などが挙げられます。
ベッドやソファ、椅子等のサイズに関して、バリエーションが豊富であるという特徴があります。
実店舗では来店したお客様がイメージしやすいよう、リビングルームやベッドルームなどの様々な生活シーンを再現したり、季節ごとにインテリアコーディネートを変えてディスプレイをしている企業も多くあります。
雑貨中心のメーカー
雑貨をメインに扱っている企業には、「良品計画」や「アイリスオーヤマ」、「ナフコ」が挙げられます。
バス用品やキッチン用品、洗濯用品等の小物関連の取り扱いが多いのも特徴です。
「雑貨中心のメーカー」は、殆どの企業がプライベートブランドを展開しています。
各企業が各々の特徴を活かし、様々な工夫を凝らした商品を生み出しています。
近年のインテリア業界の動向は?
それでは、近年のインテリア業界の動向は、どのように推移しているのでしょうか。
ここでは「インテリア業界の売上の推移」「インテリア業界の事業展開」「デジタル化の拡大」という3つの観点からみていきましょう。
インテリア業界の売上の推移
一般社団法人日本家具産業振興会が算出した家具小売業時系列データによると、家具やオフィス用品業界はの売上は、1980年代~1990年代にかけては市場規模が2兆円を超えていたものの、2000年頃に1兆円台まで下がり、2009年に起きたリーマンショックの影響で大幅に下落しました。
しかし2011年に発生した東日本大震災の後は、震災によって破損した家具を買い換える人が急増したため、市場規模はV字回復を見せました。
その後も売上は右肩上がりで推移し、2020年から新型コロナウイルスの感染が拡大したことによる巣ごもり需要やリモートワークの増加を背景に、家具やインテリアなどの売り上げは堅調に推移しています。帝国データバンクの調査によれば、2020年の国内の家具・インテリア販売市場は、前年度比+6.1%で1兆5000億円となっています。
生活スタイルの変化に伴う影響
近年は超高齢化社会が進行している影響や室内で長く快適に過ごしたいという需要から、リフォームの件数が増えてきています。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴って急増しているリモートワークの増加に伴い、屋内で快適に過ごすための様々なアイテムが登場してきています。
近年の生活スタイルの変化によって、商品ニーズやデザインは大きく変容してきたと言えるでしょう。
商品ニーズの変化
従来は家具といえば、高級感のあるアイテムに対する需要が多くを占めていました。
しかし近年、家具の需要は高級があることよりも、低価格でありながら質の良いアイテムを求める傾向が強くなってきています。
コスパが良く、質も良いアイテムを多数を展開している「ニトリ」や「イケア」、「良品計画」は幅広い世代に人気があるメーカーです。
また最近の傾向として、ソファーやベッドといったサイズ感の大きな家具を購入する需要が減り、室内で快適に過ごすために必要な小物等の需要が増加しています。
そのような家具の例として、在宅勤務をしても体が疲れない椅子や机などが筆頭に挙げられます。
ユニバーサルデザインの浸透
ユニバーサルデザインとは、「状況や年齢、能力などに関わらず、多くの人が使用しやすいように、建物や環境・製品をデザインする」という考えのことを指します。
近年は高齢者や障害者の安心・安全な日常生活をサポートする家具の開発が進められており、超高齢化社会である日本においてはお風呂での転倒を防ぐアイテムや階段の上り下りを補助するアイテムなど、バリアフリーへの配慮が大切になってきています。この傾向はますます強まると考えられています。
インテリア業界の事業展開
インテリア業界では、どのような事業展開が行われているのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
M&A
近年は売上向上の施策の1つとして、M&Aを行う企業も増えてきました。
最近の傾向として、建築・インテリアといった同業間でのM&Aだけではなく、異業間でのM&Aを行う事例が増加しています。
代表的な例として、2020年4月に中小企業向けのビジネスフォンやOA機器、セキュリティーシステムやウェブサイトの作成サービスを行う企業「フォーバル」がオフィス機器やオフィス家具、文房具用品の販売・保守の事業を行っている「えすみ」の全株式を取得して、完全子会社化を行いました。
また2020年11月には「ニトリ」が「島忠」の買収を行い、2021年9月には「大塚家具」が大手家電メーカーの「ヤマダホールディングス」の傘下に入りました。
このように今後も異業界とのM&Aを行いつつ、収益担保を目指して事業展開を行う企業が増加していくと考えられます。
海外展開
M&Aだけでに限らず、海外展開を行いながら業績を伸ばしている企業も増えてきています。
例えばコストパフォーマンスの高さが魅力の「ニトリ」や「良品計画」は、海外展開を積極的に行っており、順調に業績を伸ばしています。
「ニトリ」は、生産拠点をインドネシアやベトナムに置き、現在は中国や台湾、東南アジアやアメリカに店舗を出店しています。
「良品計画」は、1991年に「MUJI」と店名を変えて、イギリスのロンドンに初の海外店舗をオープンし、2019年2月の時点で全975店舗のうち53%が海外での展開となっています。
海外ならではのデザインを武器に「イケア」が日本で幅広い人気を獲得しているのと同様に、今後も日本らしさを売りにしたインテリア商品を海外店舗で展開していく企業は増えていくと予想されています。
新ブランドの立ち上げ
インテリアメーカーの中には、新ブランドを立ち上げて業績を伸ばす企業も増加傾向にあります。
「ニトリ」は2011年に「毎日でも立ち寄れる店」というコンセプトの「デコホーム」というインテリア雑貨の新ブランドを立ち上げました。「ニトリ」はさらに、2019年に「N+」というアパレルブランドを立ち上げて売上を伸ばしてきています。
インテリア雑貨メーカーの「FRANCFRANC」は、2019年に新ブランド「モダンワークス(MODERN WORKS)」を立ち上げました。「モダンワークス(MODERN WORKS)」はデザインや品質、価格のバランスを重視した家具ブランドとして注目を集めています。
消費者のニーズを汲み取り、メーカーが従来持っている特徴を活かしながら、新ブランドの展開を行っている企業が順調に業績を伸ばしています。
今後も様々なメーカーから、多様化するニーズに対応したブランドが生まれると考えられています。
デジタル化の拡大
様々な業界でIT化が進んでいる現在、比較的大きなサイズの商品が多いインテリア業界では持ち運びの利便性を鑑み、デジタル化を推進している企業が増加してきています。
それでは、どのような形でデジタル化が推進されているのかをみていきましょう。
ECサイトの活用で手軽に買い物ができる
近年はECサイトを使って商品を購入する機会が増えてきており、その便利さから更なる活用が期待されています。
実店舗での販売は行わずに、ECサイトに特化した「LOWYA」という新会社も誕生しました。
ネット通販だけを行うことにより、店舗の人件費等を抑えることが可能となり、コストパフォーマンが高く品質の良い商品の販売ができるようになってきました。
ECサイトの活用例としては、実際の店舗で実物の家具等を確認した後に、ECサイトで商品を購入させる仕組みで業績を伸ばしている企業もあります。
「ニトリ」では「手ぶらdeショッピング」というサービスを開始しており、「ニトリ」のアプリで商品のバーコードをスキャンするとその商品が買い物リストに追加され、注文が可能となるという新たな仕組みで注目を集めています。従来は商品を購入するには、店舗で自分で商品をレジまで運び、配送してもらったり自分で持ち帰るという流れが必要でしたが、「手ぶらdeショッピング」を利用すれば、大きなサイズの商品を運んだり配送手続きに関する手間を省く事ができます。
VRを使用し部屋のシミュレーションが可能に
VRとは、特殊な機械を装着し、仮想空間の体験が可能となるサービスのことを指します。
VRは従来は主にゲーム業界等で扱われていましたが、現在は建築やインテリア業界でも利用が進んでいます。
例えば「FRANCFRANC」青山店では、VRを用いて検討中の家具を自室に設置した場合のシミュレーションを行うことができるサービスを実施しています。
リモコン操作で場面が変わるため、様々な部屋に設置した様子を見ることが可能です。
VRを使用することで、今までは購入しないと分からなかった家具と部屋の様子がイメージし易くなり、顧客満足度も向上しています。
インテリア業界のおススメの仕事3選!
ここまでは、インテリア業界の仕組みや近年の動向をみてきました。
インテリア業界に対する理解も深まったところで、インテリア業界の仕事をみていきましょう。
今回はおススメの仕事を3つ説明していきます。
インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターは、住宅や店舗、商業施設などの内装や空間の監修を行うのが主な仕事です。
様々な家具や壁紙、カーテンなどをの選定や配置を行い、お客様の理想の空間を実現させます。
見た目の美しさはもちろんですが、生活導線などを確保し、過ごしやすさを考慮しながら仕事を行う必要があります。
インテリアコーディネーターは一般財団法人インテリア産業協会が主催する民間の資格でもあります。
インテリアコーディネーター資格試験は、学科試験である一次試験とプレゼンテーションと論文によって構成されるの二次試験に分かれており、実施されるのは年に一度。
一次と二次通しての合格率は22.5%と、狭き門となっています。
またインテリアコーディネーターの活躍の場は幅広く、家具メーカーや住宅メーカー、設計事務所、デザイン事務所と多岐に亘っていることから、今後も需要はさらに増えると予想されています。
【おススメ資格】インテリアコーディネーター資格とは?合格率や難易度を解説!
インテリアデザイナー
インテリアデザイナーは、室内空間の環境設計を行うことが主な仕事です。
仕事内容としてはインテリアコーディネーターと重なる部分も多く、家具や壁紙の決定も業務のひとつですが、インテリアデザイナーの場合はそれに加えて設計に関する知識が要求されます。設計図を作成する際は、CADを利用して行う場合が殆どです。
インテリアデザイナーはデザインするインテリアのコンセプトを決定し、造作や温度や色、それに加えて音の管理も行い、住宅だけでなく、オフィスや店舗、ホテルや学校といった様々な建築物の内装に深くかかわっています。
より精密で美しいインテリアデザインを行うためには、感性やセンスを磨き、建築士と密接にコミュニケーションをとることも必要となります。
インテリアデザイナーは日本デザインプランナー協会が主催する民間資格の名称でもあり、資格試験は2か月に1度のペースで行われています。
資格試験に合格するためには、様々な家具に関する商品知識の他、販売からデザイン技術に至るまで幅広い知識が必要となります。
インテリアデザイナーは主に設計事務所やデザイン事務所、住宅メーカーに勤務する場合が多いと言えます。
インテリアプランナー
インテリアプランナーもインテリアコーディネーターやインテリアデザイナーと同じく、様々な家具の選定を行いますが、他にもインテリア設計図を作成したり、工事を管理・監督することも大切な仕事です。インテリアプランナーは主に個人住宅やオフィス、そして商業施設の内装を手掛けます。
インテリアプランナーは利用する人の過ごしやすさや安全性にも気を配り、センスや感性だけでなく、あらゆる建築知識を持つことが必要とされます。
インテリアプランナー資格試験は財団法人建築技術教育普及センターが主催しており、試験は年に一度実施されています。
試験内容は学科試験と設計製図試験のふたつに分かれており、一級または二級、及び木造建築士資格を保持している場合は、学科試験が免除されます。
インテリア業界に対する理解を深めて仕事に役立てよう
いかがでしょうか?
今回はインテリア業界の仕組みや動向、おススメの仕事についてみてきました。
インテリア業界に対する知識を深めて、実際の業務に役立ててくださいね。
【建築士の仕事】意匠設計と構造設計の違い
建築士の仕事は「意匠設計」と「構造設計」に分類される
建築工事は目的や規模などは様々ですが、その全てが何枚もの設計図をもとに進められているという点では共通しています。
そして、その全ての建築物の元になる設計図を作成するのが建築士の仕事です。
建築士による設計図の作成とひとくちに言っても、その業務は大きく「意匠設計」と「構造設計」の二つに分かれており、細部に亘るまで分業化されています。
建築士の仕事に対する理解を深めるためには、それぞれの業務の特性を知ることがとても重要となってきます。
そこで今回は「意匠設計」と「構造設計」の業務内容と、それぞれの違いについてみていきましょう。
そもそも建築設計とはどのような仕事なの?
「意匠設計」や「構造設計」についてみていく前に、建築設計とはどのような仕事であるかをおさえておきましょう。
建築設計とは、その名の通り建築の設計図を作成することです。
建築設計の業務は大きく分類すると、「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つに分かれています。
「意匠設計」は建築物の間取りやデザインの設計を指します。
「構造設計」は地震などが発生しても倒壊しないように、建築物の構造の強度を確保するための設計です。
「設備設計」はその建築物を利用する人が内部で快適に過ごせるように、空調や音響、光や配管などの設備のを設置するための設計です。
一般的に二級建築士や一級建築士が携わるのは、「意匠設計」と「構造設計」になります。
「意匠設計」の仕事内容はどんなもの?
建築物のデザインを手掛ける「意匠設計」。
「意匠設計」は一見非常に華やかなイメージがありますが、具体的にはどのような仕事を行っているのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
「意匠設計」の役割とは?
「意匠設計」の主な役割は、先ほど述べた通り意匠設計図の作成です。
「意匠設計」の担当者に求められるのは、建築物を実際に施工する上で工事を滞りなく行う事が出来、さらにデザイン性の高い図面を作成する能力です。
「意匠設計」において最も重要なのは、その建築物がどのような目的でどんな時に利用されるのかを考えて、図面に落とし込んでいくことです。
建物の物理的な耐久を持たせるために構造計算を行うのは、「構造設計」の役割なので「意匠設計」には求められません。
基本設計図を作成した後に構造や設備の設計が行われるので、それを経た後、最終段階で「意匠設計」担当者は設計図が予算と整合性が取れているか、建築基準法に違反していないかの確認を行い、正式な設計図を作成します。
建築物の設計において最初から最後まで責任を持って携わるため、「意匠設計」は設計の総監督の役割を担っていると言えるでしょう。
「意匠設計」の仕事①基本設計図を作成する
「意匠設計」の仕事は「建築物を建てたい」という施主から依頼によって始まります。
そして依頼を受けた後、最初に行うのが基本設計図の作成です。
基本設計図の作成を行うためには施主と打合せを重ねて、建築物がどのような用途で使用されるかやどのようなこだわりを持っているかを詳細にヒアリングする必要があります。
この段階では詳細部は考えずに、施主とイメージのすり合わせを行うことが大切なポイントです。
平面図やパース図、立断面図などを作成して、施主の希望に沿った設計図の作成を目指します。
「意匠設計」の仕事②構造設計や設備設計とすり合わせを行う
基本設計図を作成した後に行うのが、構造設計担当者や設備設計担当者とのすり合わせです。
建築物は意匠性だけを考慮して設計すると、必ず構造上の欠陥が生じたり配管や配線がうまく配置できないといった問題が起きてしまいます。
実際に施工業者により建設工事が開始された後に問題が発生してしまうと大変な事態となってしまうため、そのような事態を回避するためもすり合わせは必要な仕事です。
意匠設計図をもとに構造設計図と設備設計図を作成してもらい、構造的な不備がないかや配管、配線が可能であるかを確認することが大切です。
「意匠設計」の仕事③実施設計図を作成する
「構造設計」や「設備設計」とのすり合わせが完了したら、実施設計図の作成を行います。
実施設計図とは、施主の希望通りの基本設計が完成した後に作成される、詳細な設計図を指します。
実施設計図は施工業者によって実際に施工が行われる際に必ず必要な図面となるため、より緻密で正確な図面作成が求められます。
壁厚や天井高は詳細な寸法を明記し、どの場所にどのような建設資材を使用するのか、各部位の納まりはどのようになるのかなどを細かく記載していきます。
実際に施工が行われるときに現場が混乱することのないよう、詳細まで描き込む事が必要です。
「意匠設計」に求められるスキルとは
「意匠設計」の最大の特徴は、目に見える部分の設計を行うという点です。
建築物のデザインや間取りの設計に関しては、すべて意匠設計の仕事となるため、美的センスや空間把握能力、イマジネーションは必要不可欠だといえるでしょう。
また完成した基本設計図を施主に納得させるためには、提案力やコミュニケーション能力も重要となります。
他には採光や空気の流れなどについて、細部にまで配慮できることも大切です。
「意匠設計」に携わる建築士の年収は?
華やかでクリエイティブなイメージがある「意匠設計」の仕事ですが、年収はどのくらいなのでしょうか。
「意匠設計」は、施主から依頼を受けて業務に取りかかります。
依頼を受けた際に様々な方面からの提案が出来なければ、依頼自体がキャンセルとなってしまうこともあり得るため、日頃から建築に関する勉強を欠かさず、知識をアップデートすることが求められます。
そうかと思えば、施主との打合せを重ねてある程度の方向性が決まった後は、設計図面の作成に打ち込む日もあります。
様々なスキルが求められる「意匠設計」の平均年収について見てみましょう。
平均年収は約480〜500万円程
「意匠設計」に携わる建築士の平均年収は約480〜500万程度だと言われています。
日本の平均年収は大体430万円程度とされているため、平均年収よりもやや高いといったところでしょうか。
誰にでもできる仕事ではなく、高度な専門知識が求められる仕事のため、このような結果となりました。
それでは「意匠設計」に携わる建築士が年収を上げるためには、どうすれば良いのでしょうか。
高収入を実現する一番の方法は転職
現在よりも良い待遇の企業へ転職することができれば、年収も一気にアップするでしょう。
特に住宅メーカーや大手ゼネコンなどの平均年収は約600〜700万円程度なので、「意匠設計」に携わる建築士としての平均年収はトップクラスであると言うことができます。
中小規模の設計事務所に勤めている場合は、少人数で対応する必要があるため、ひとりあたりの業務負担が多くなり、勤務時間が長い割には収入が低い状態になることが多くあります。
その点、住宅メーカーや大手ゼネコンであれば業務内容が細分化されており、建築士ひとりに対する業務負担は減ります。
もちろん、誰でも簡単に転職ができるわけではありません。
転職によって高収入を目指すには、相応の経験や資格などが必要となります。
「構造設計」の役割と仕事内容とは?
「構造設計」の主な仕事は、その建築物がどの程度の耐久力を持っているのかを考慮の上、建築基準法に定められた耐用年数を満たした構造計算を行うことが主となります。
「構造設計」の役割と仕事内容についてみていきましょう。
「構造設計」の仕事◎建物の安全性を満たす構造計算を行う
「構造設計」に携わる建築士の最も大切な仕事は、地震や積雪などの災害により建物が倒壊することを防ぎ、安全性能を確保することです。
そのため、「構造設計」の主たる業務内容は、建築物の土台や骨組みの「構造設計」を行った上で構造設計図を作成することにあります。
「構造設計」のその他の仕事としては、補強設計や耐震診断、設計監理などで、建築物の構造と安全を確保することです。
「構造設計」に携わる建築士は、基本設計図をもとに建築物の間取りや立面断面、コストなどの諸条件を考慮に入れつつ、柱や梁の形状や配置を決めていきます。
「構造設計」に求められるスキルとは
「構造設計」は表立って目にすることがない箇所の設計を行う場合が殆どですが、建築物の安全性を担保するという非常に重要な役割を担っています。
「構造設計」に不備があると建築物の耐久性が下がり、倒壊してしまう危険性があります。
そのため建築物が受ける様々な負荷を考慮し、柱や梁の太さや位置、鉄筋の種類や本数などを綿密に計算しながら構造設計を行っていく必要があります。
以上のことから「構造設計」に必要なスキルとは、高度な分析力はもちろん、構造力学や物理学への深い理解であるということができます。
建築の複雑化に伴い「構造設計」の出番は増加傾向に
安藤忠雄氏や隈研吾氏のような有名建築家は「意匠設計」を専門としています。
確かに建築士の仕事の花形は「意匠設計」という風潮がありますが、近年は構造技術の進展や材料の開発が進み、それに伴い「構造設計」の業務も注目されてきています。
以前は建築物といえば四角く重厚なものというイメージがありましたが、近年の技術や工法の進展によって、様々な材質で軽やかなあらゆる形状が実現可能となりました。
このように建築物が複雑化している現在の状況において重要となるのは、「意匠設計」と「構造設計」に携わる建築士が綿密に連携を取りながら業務を行うことです。
優れた建築物を建てるためには「意匠設計」と「構造設計」の双方の力が必要となってきます。
「構造設計」の業務においては建物の安全性を確保することが非常に重要となってきます。
地震などの震災に備える「構造設計」としては、以前は「耐震構造」設計を行うことのみが求められてきましたが、現在は研究が進み、地震の揺れを受け流す「制震構造」や地震の揺れを建物に伝えない「免震構造」が生まれました。地震への備えに関しては、2016年に発生した熊本地震において、直下型の長周期地震である「長周期パルス」と呼ばれる地震動記録が観測されるなど、今後は更なる研究が進むと考えられています。
従来にはない形状の実現や構造方法の多様化によって、「構造設計」に携わる建築士の出番はより多くなってきており、「構造設計」を行う際にも高度なスキルが求められるようになってきているという現状があります。
意匠設計と構造設計の違いとは?
それでは「意匠設計」と「構造設計」の具体的な違いはどのようなところにあるのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
「意匠設計」と「構造設計」の違い①客層が異なる
「意匠設計」に携わる建築士の打合せの相手は、エンドユーザーである施主が主となります。
そのため専門用語を極力使用せずに、一般の人もわかるようにできるだけわかりやすい言葉で説明することが求められます。
一方で、「構造設計」に携わる建築士は意匠設計者が相手になります。
専門用語を用いての会話が成立つので、打合せはスムーズにいく場合が多いといえるでしょう。
しかしながら「構造設計」だけの専門用語が存在するため、その点は注意が必要です。
「意匠設計」と「構造設計」の違い②設計図の作成過程が異なる
「意匠設計」は定性的な説明が可能となります。
例えば、「和らぐ」や「気持ちいい」といった人の感じ方に軸を置いてデザインを決めていくことができます。
0から想像力を膨らまして形づくっていくことが「意匠設計」の特徴ともいえるでしょう。
その一方、「構造設計」は定量的であるということができ、アウトプットする際には数量が必ず紐づいてます。
0から形作っていくのではなく、「意匠設計」に携わる建築士が作成した基本設計図をもとに適切な構造設計図を作成していきます。
意匠設計と構造設計の違い③設計に携わる期間が異なる
「意匠設計」に携わる建築士は、最初期から建築物に携わり、竣工後のメンテナンスまで一貫して管理監督を行います。
エンドユーザーである施主に対するアフターフォローも重要な仕事のひとつです。
そのため、どのような小さな建築物でも1年単位で携わることになるでしょう。
それに比べると「構造設計」に携わる建築士は、ひとつの建築物に携わる期間は短くなります。
基本的には、意匠設計者による基本設計図が完成した後に構造設計を行い、構造設計図の作成が終わるとその建築物に関わることはなくなります。
同じ設計でも仕事内容や求められるスキルは違う
いかがでしょうか。
「意匠設計」と「構造設計」では、仕事内容や求められるスキルが全く異なることが理解頂けたと思います。
建築設計に関する知識を深めて、ぜひ実際の業務に活かしてみてくださいね。