建築業界の仕事について

建築士の仕事で苦労する事・大変な事は?

2022-06-14

一見華やかな建築士の仕事の苦労とは?

建築士の主な業務は、法律に基づいて様々な建築物の設計や工事の監理監督を行うことです。
住宅やマンション・ビルといった色々な建物の設計図を作成し、その設計を基に建築現場で指揮監督などの業務にあたります。

建築士の仕事は、自分のアイデアがそのまま形として残り、社会的な責任も大きく、やりがいのある魅力的な仕事であると言えます。
しかし、やりがいが大きな分、実際の業務においては苦労も多い仕事です。
今回は建築士の業務のうち、大変なことや苦労することにはどのようなものが挙げられるのかをみていきましょう。

予算とデザイン性、安全性の板挟みに・・・

建築士に依頼が入る設計案件の中でも最も件数が多いものが、戸建住宅の設計です。
一生に一度の大きな買い物であるマイホーム。
依頼主は様々な夢や希望を持って、建築士に依頼をします。
例えば「木のぬくもりを感じられる家にしたい」「リビングの天井は高く、開放感がある雰囲気に仕上げたい」など、依頼主は間取りやデザインに様々な理想を持っています。
しかし、予算との兼ね合いで諦めざるを得ないことが多くある、というのが現状です。
また、日本では地震が多いため耐震性が重視され、安全性の面から断念せざるを得ない場合もあります。
依頼主は建築の素人であるため、建築士の説明が理解できず、納得してもらうのが難しい場合も多くあります。
建築士は依頼主の希望と現実の間で、ジレンマに悩まされることも少なくないようです。

締切に追われる

少人数のスタッフで運営される建築事務所で最も苦労する点が、締め切り前の追い込み作業です。
建築物の設計の依頼には必ず締切が設定されており、それに間に合わなければ信用に関わります。
小さな建築事務所にとっては信用を失うことは命取りです。
一度信用を失ってしまえば、次回からの仕事の依頼がぱたりと途絶えてしまします。
特にいくつもの締め切りが重なったり、依頼主に納得してもらえずやり直しを余儀なくされる場合は、深夜までの作業が連日続くこともあります。
心身ともに追い込まれ、体調を崩す建築士も決して少なくはありません。
無理のないスケジュールを立て、意識して身心の健康を保つことが建築士にとって大切なことであると言えます。

実力がなければ生き残れない

令和2年の建築士登録状況によれば、建築業界で難関資格とされる1級建築士ですら、全国で約37万人の登録があります。
建築士の世界は、実はとてもシビアです。
建築士資格を取得しただけではスタートラインに立ったに過ぎず、就職すら難しいというのが実情です。
センスを磨き、独自性のあるアイデアを打ち出し、さらに勉強を重ねなくては生き残っていくことはできないのです。
このように見ていくと、建築士を目指すには相当の覚悟が必要なことがわかるはずです。
建築士の資格を取得後に挫折し、他業種に転職する人も後を絶ちません。
建築士資格を取得した後も現状に満足せず、常に勉強を続けていくという姿勢がなければ、生き残っていくのは難しいでしょう。

理想の仕事に就くことが難しい

建築業界の最難関資格である1級建築士の資格を取得しても、なかなか理想の仕事に就けないというのが現実です。
建築士資格を所持していることで優遇して採用してくれる会社があるのは事実ですが、しかしそういった会社に入社したからと言って設計の仕事ばかりを任せて貰えるかというとそういうわけでもありません。気付いたら簡単な事務仕事ばかりをしているという話も珍しくはありません。
こうなってくると「せっかく建築士の資格を取ったのに意味がないのではないか」「建築士として活躍したかったのにこんなはずではなかった」と考える人も出てきます。
インテリア・建築業界の中でも、最も設計の仕事をさせてもらいやすいのがハウスメーカーですが、ここでも望み通りに設計の仕事ばかりできる人はほんの一握りです。
設計の仕事をコンスタントに任せて貰うためには、常にお客様が満足するような設計図を指定の予算内で作成し続ける努力が必要です。
そのためには、デザインや機能性といった様々な分野で流行を常に把握し続ける必要があり、通常の業務に加えて業務終了後も勉強を続けなければなりません。
そういった点からも、建築士という仕事に熱意を向けていないと、続けていくのは難しいといえるでしょう。
建築士資格を保持していても実際に建築士として仕事をし続けたいのであれば、日々の努力が欠かせないと言えるでしょう。

図面の作成

建築士として何年も実績を積んでいたとしても、やはり図面の作成は大変なもの。
経験と共に様々な業務を経験したベテランであっても、担当する建築物の規模が大きくなればなる程、何十枚もの図面が必要となり、書いても書いても終わらず、徹夜で仕事をしなければならない状態が起こりえるのです。
図面の数が膨大になったとしても、その一枚一枚に緻密な描写が求められることに変わりはなく、その労力は計り知れません。
近年は図面がCADで描かれるようになったため、以前に比べると図面を描く効率は格段に上がりました。
しかしその分、今まで描くことがなかった種類の図面を描くケースが増えてきたため、同じ規模の建築物でも描く枚数が増えました。
製図をする上での一枚あたりの労力は軽減されましたが、総合的に考えると仕事量が増えたと言うことができます。

難しいお客様のアフターフォロー

お客様が気難しい方の場合は、アフターフォローも大変です。
お客様と打ち合せを重ね、納得してもらいながら設計を進めて家を作ったはずなのに、引き渡し後にクレームめいたことを言われることもあります。
引渡し後に色々なことを言われても仕方がないため、何とか納得してもらえるように話すのですが、それが一苦労。
また同じ展示場で建売住宅の見学会を行うと、以前家を購入されたお客様が見学に来られて、「こんなにいい機能があるとは知らなかった」など、購入した家には無いグレードの良いものを探しては、文句を言われることもあります。
家は一生に一度か二度の大きな買い物なので文句を言いたくなる気持ちは理解できますが、最終的に決断をしたのはご自身なので、納得して頂きたいところです。
しかしそれが難しい時もあることを、覚えておきましょう。

建築士を辞める際の最も多い理由とは?

建築士を辞める理由の中でも最も多いのが、理想と現実との間に大きなギャップを感じてしまったケースです。
勤務先によって事情は様々ですが、多くのハウスメーカーや設計事務所では作業効率を高めたり、特定の分野に偏った案件を受注する場合が多いため、手がける案件が変わり映えのしないものになるという場合が殆どです。
自分自身のオリジナリティを生かして自由な設計をしたいと考えていた人にとっては、ルーティンワークが多い実際の職場での仕事内容に、理想とのギャップを感じてしまうケースもあります。
また、一級建築士などはかなり難易度が高い資格である割は、給与などの待遇面に反映されてないという点も離職率を高めていると言えます。
携わっている設計にこだわればこだわるほど重労働になりますし、マニュアルがあり作業がルーティン化すればするほど給与などの待遇は良くなる傾向にあるため、仕事内容と待遇面のジレンマに悩む人が多い実情があります。

建築士の様々な働き方を知ろう

理想とのギャップが埋められるずに離職を考えている方も多い建築士の業界。
しかし様々な働き方があるのも事実なので、業界を離れる前に転職を考えてみるのも良いでしょう。

設計事務所

設計事務所には、少数精鋭で運営されている個人事務所の他、全国に展開している大手設計事務所など様々な形態があります。
個人事務所は、住宅やマンション、学校や店舗など、得意分野を活かして運営していることが殆どです。
それに対して全国に展開している大手の設計事務所は、様々な種類の建築物を手掛けています。
設計事務所の求人情報を見てみると、大手企業に関しては中途採用の場合は「一級及び二級建築士、または木造建築士の資格保持者」という応募条件が記載されています。
個人事務所の場合だと「建築系の学部や学科出身者」や「建築士の資格保持者」という条件で募集されている場合が殆どです。
設計事務所の中途採用に応募する場合は建築士資格の保持が必須となるため、建築士資格を所持した上で転職活動を行うと良いでしょう。

ゼネコンの設計部署

ゼネコンに勤務する場合、基本的な仕事は自社の案件の設計です。
対象となる建築物は、住宅やマンション、ビルや店舗など多岐にわたります。
ゼネコンと設計事務所との大きな違いとして、「意匠設計」を重視するか否かという点が挙げられます。
ゼネコンで手掛ける建築物は堅実な施工を重視している場合が多いため、意匠設計を積極的に手掛けたい場合は、設計事務所に勤務することがおススメです。

住宅メーカー

住宅メーカーには全国に展開している大企業から、その地域に密着した建築を行う企業まで様々な企業があります。
全国展開している大手住宅メーカーの場合は、設計やCAD、積算など、いくつかの部署に分かれている事もあります。
採用に関してはそこまで条件は厳しくなく、学歴が高卒でもOKな場合や、資格を持っていなくても設計に関する業務経験があればOKという求人もあります。
設計事務所やゼネコンと比較すると、就職へのハードルは低いと言えそうです。

工務店

一口に工務店と言っても、会社の規模は様々です。
例えば、大手ゼネコンの竹中工務店は、工務店と付いていても全国展開する大企業です。
しかし主に工務店と言えば、地域密着型の小規模な会社が殆どだと言えるでしょう。
工務店は、直接お客様から依頼を受けて設計や施工するだけではなく、住宅メーカーやゼネコンの下請けとして案件を受注する場合もあります。
工務店に就職するメリットは、地域に様々な貢献ができるという点です。
しかし工務店の多くは小規模経営なので、就職に関して言うならば空きがあることも少なく、求人情報を目にしたらできるだけ早く応募するようにした方が良いでしょう。

建築士の仕事は苦労も多いもののやりがいも◎

一見華やかに見えますが、苦労も多い建築士の仕事。
しかし自身が設計した建築物が完成した時の喜びはひとしおです。
様々な働き方に目を向けて、自分に適した職場で実力を発揮するようにしましょう。

【建築士の仕事】意匠設計と構造設計の違い 

2022-05-20

建築士の仕事は「意匠設計」と「構造設計」に分類される

建築工事は目的や規模などは様々ですが、その全てが何枚もの設計図をもとに進められているという点では共通しています。
そして、その全ての建築物の元になる設計図を作成するのが建築士の仕事です。
建築士による設計図の作成とひとくちに言っても、その業務は大きく「意匠設計」と「構造設計」の二つに分かれており、細部に亘るまで分業化されています。
建築士の仕事に対する理解を深めるためには、それぞれの業務の特性を知ることがとても重要となってきます。
そこで今回は「意匠設計」と「構造設計」の業務内容と、それぞれの違いについてみていきましょう。

そもそも建築設計とはどのような仕事なの?

「意匠設計」や「構造設計」についてみていく前に、建築設計とはどのような仕事であるかをおさえておきましょう。

建築設計とは、その名の通り建築の設計図を作成することです。
建築設計の業務は大きく分類すると、「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つに分かれています。
「意匠設計」は建築物の間取りやデザインの設計を指します。
「構造設計」は地震などが発生しても倒壊しないように、建築物の構造の強度を確保するための設計です。
「設備設計」はその建築物を利用する人が内部で快適に過ごせるように、空調や音響、光や配管などの設備のを設置するための設計です。
一般的に二級建築士や一級建築士が携わるのは、「意匠設計」と「構造設計」になります。

「意匠設計」の仕事内容はどんなもの?

建築物のデザインを手掛ける「意匠設計」。
「意匠設計」は一見非常に華やかなイメージがありますが、具体的にはどのような仕事を行っているのでしょうか。
詳しくみていきましょう。

「意匠設計」の役割とは?

「意匠設計」の主な役割は、先ほど述べた通り意匠設計図の作成です。
「意匠設計」の担当者に求められるのは、建築物を実際に施工する上で工事を滞りなく行う事が出来、さらにデザイン性の高い図面を作成する能力です。
「意匠設計」において最も重要なのは、その建築物がどのような目的でどんな時に利用されるのかを考えて、図面に落とし込んでいくことです。
建物の物理的な耐久を持たせるために構造計算を行うのは、「構造設計」の役割なので「意匠設計」には求められません。
基本設計図を作成した後に構造や設備の設計が行われるので、それを経た後、最終段階で「意匠設計」担当者は設計図が予算と整合性が取れているか、建築基準法に違反していないかの確認を行い、正式な設計図を作成します。
建築物の設計において最初から最後まで責任を持って携わるため、「意匠設計」は設計の総監督の役割を担っていると言えるでしょう。

「意匠設計」の仕事①基本設計図を作成する

「意匠設計」の仕事は「建築物を建てたい」という施主から依頼によって始まります。
そして依頼を受けた後、最初に行うのが基本設計図の作成です。
基本設計図の作成を行うためには施主と打合せを重ねて、建築物がどのような用途で使用されるかやどのようなこだわりを持っているかを詳細にヒアリングする必要があります。
この段階では詳細部は考えずに、施主とイメージのすり合わせを行うことが大切なポイントです。
平面図やパース図、立断面図などを作成して、施主の希望に沿った設計図の作成を目指します。

「意匠設計」の仕事②構造設計や設備設計とすり合わせを行う

基本設計図を作成した後に行うのが、構造設計担当者や設備設計担当者とのすり合わせです。
建築物は意匠性だけを考慮して設計すると、必ず構造上の欠陥が生じたり配管や配線がうまく配置できないといった問題が起きてしまいます。
実際に施工業者により建設工事が開始された後に問題が発生してしまうと大変な事態となってしまうため、そのような事態を回避するためもすり合わせは必要な仕事です。
意匠設計図をもとに構造設計図と設備設計図を作成してもらい、構造的な不備がないかや配管、配線が可能であるかを確認することが大切です。

「意匠設計」の仕事③実施設計図を作成する

「構造設計」や「設備設計」とのすり合わせが完了したら、実施設計図の作成を行います。
実施設計図とは、施主の希望通りの基本設計が完成した後に作成される、詳細な設計図を指します。
実施設計図は施工業者によって実際に施工が行われる際に必ず必要な図面となるため、より緻密で正確な図面作成が求められます。
壁厚や天井高は詳細な寸法を明記し、どの場所にどのような建設資材を使用するのか、各部位の納まりはどのようになるのかなどを細かく記載していきます。
実際に施工が行われるときに現場が混乱することのないよう、詳細まで描き込む事が必要です。

「意匠設計」に求められるスキルとは

「意匠設計」の最大の特徴は、目に見える部分の設計を行うという点です。
建築物のデザインや間取りの設計に関しては、すべて意匠設計の仕事となるため、美的センスや空間把握能力、イマジネーションは必要不可欠だといえるでしょう。
また完成した基本設計図を施主に納得させるためには、提案力やコミュニケーション能力も重要となります。
他には採光や空気の流れなどについて、細部にまで配慮できることも大切です。

「意匠設計」に携わる建築士の年収は?

華やかでクリエイティブなイメージがある「意匠設計」の仕事ですが、年収はどのくらいなのでしょうか。
「意匠設計」は、施主から依頼を受けて業務に取りかかります。
依頼を受けた際に様々な方面からの提案が出来なければ、依頼自体がキャンセルとなってしまうこともあり得るため、日頃から建築に関する勉強を欠かさず、知識をアップデートすることが求められます。
そうかと思えば、施主との打合せを重ねてある程度の方向性が決まった後は、設計図面の作成に打ち込む日もあります。
様々なスキルが求められる「意匠設計」の平均年収について見てみましょう。

平均年収は約480〜500万円程

「意匠設計」に携わる建築士の平均年収は約480〜500万程度だと言われています。
日本の平均年収は大体430万円程度とされているため、平均年収よりもやや高いといったところでしょうか。
誰にでもできる仕事ではなく、高度な専門知識が求められる仕事のため、このような結果となりました。
それでは「意匠設計」に携わる建築士が年収を上げるためには、どうすれば良いのでしょうか。

高収入を実現する一番の方法は転職

現在よりも良い待遇の企業へ転職することができれば、年収も一気にアップするでしょう。
特に住宅メーカーや大手ゼネコンなどの平均年収は約600〜700万円程度なので、「意匠設計」に携わる建築士としての平均年収はトップクラスであると言うことができます。
中小規模の設計事務所に勤めている場合は、少人数で対応する必要があるため、ひとりあたりの業務負担が多くなり、勤務時間が長い割には収入が低い状態になることが多くあります。
その点、住宅メーカーや大手ゼネコンであれば業務内容が細分化されており、建築士ひとりに対する業務負担は減ります。
もちろん、誰でも簡単に転職ができるわけではありません。
転職によって高収入を目指すには、相応の経験や資格などが必要となります。

「構造設計」の役割と仕事内容とは?

「構造設計」の主な仕事は、その建築物がどの程度の耐久力を持っているのかを考慮の上、建築基準法に定められた耐用年数を満たした構造計算を行うことが主となります。
「構造設計」の役割と仕事内容についてみていきましょう。


「構造設計」の仕事◎建物の安全性を満たす構造計算を行う

「構造設計」に携わる建築士の最も大切な仕事は、地震や積雪などの災害により建物が倒壊することを防ぎ、安全性能を確保することです。
そのため、「構造設計」の主たる業務内容は、建築物の土台や骨組みの「構造設計」を行った上で構造設計図を作成することにあります。
「構造設計」のその他の仕事としては、補強設計や耐震診断、設計監理などで、建築物の構造と安全を確保することです。
「構造設計」に携わる建築士は、基本設計図をもとに建築物の間取りや立面断面、コストなどの諸条件を考慮に入れつつ、柱や梁の形状や配置を決めていきます。

「構造設計」に求められるスキルとは

「構造設計」は表立って目にすることがない箇所の設計を行う場合が殆どですが、建築物の安全性を担保するという非常に重要な役割を担っています。
「構造設計」に不備があると建築物の耐久性が下がり、倒壊してしまう危険性があります。
そのため建築物が受ける様々な負荷を考慮し、柱や梁の太さや位置、鉄筋の種類や本数などを綿密に計算しながら構造設計を行っていく必要があります。
以上のことから「構造設計」に必要なスキルとは、高度な分析力はもちろん、構造力学や物理学への深い理解であるということができます。

建築の複雑化に伴い「構造設計」の出番は増加傾向に

安藤忠雄氏や隈研吾氏のような有名建築家は「意匠設計」を専門としています。
確かに建築士の仕事の花形は「意匠設計」という風潮がありますが、近年は構造技術の進展や材料の開発が進み、それに伴い「構造設計」の業務も注目されてきています。
以前は建築物といえば四角く重厚なものというイメージがありましたが、近年の技術や工法の進展によって、様々な材質で軽やかなあらゆる形状が実現可能となりました。
このように建築物が複雑化している現在の状況において重要となるのは、「意匠設計」と「構造設計」に携わる建築士が綿密に連携を取りながら業務を行うことです。
優れた建築物を建てるためには「意匠設計」と「構造設計」の双方の力が必要となってきます。
「構造設計」の業務においては建物の安全性を確保することが非常に重要となってきます。
地震などの震災に備える「構造設計」としては、以前は「耐震構造」設計を行うことのみが求められてきましたが、現在は研究が進み、地震の揺れを受け流す「制震構造」や地震の揺れを建物に伝えない「免震構造」が生まれました。地震への備えに関しては、2016年に発生した熊本地震において、直下型の長周期地震である「長周期パルス」と呼ばれる地震動記録が観測されるなど、今後は更なる研究が進むと考えられています。
従来にはない形状の実現や構造方法の多様化によって、「構造設計」に携わる建築士の出番はより多くなってきており、「構造設計」を行う際にも高度なスキルが求められるようになってきているという現状があります。

意匠設計と構造設計の違いとは?

それでは「意匠設計」と「構造設計」の具体的な違いはどのようなところにあるのでしょうか。
詳しくみていきましょう。

「意匠設計」と「構造設計」の違い①客層が異なる

「意匠設計」に携わる建築士の打合せの相手は、エンドユーザーである施主が主となります。
そのため専門用語を極力使用せずに、一般の人もわかるようにできるだけわかりやすい言葉で説明することが求められます。
一方で、「構造設計」に携わる建築士は意匠設計者が相手になります。
専門用語を用いての会話が成立つので、打合せはスムーズにいく場合が多いといえるでしょう。
しかしながら「構造設計」だけの専門用語が存在するため、その点は注意が必要です。

「意匠設計」と「構造設計」の違い②設計図の作成過程が異なる

「意匠設計」は定性的な説明が可能となります。
例えば、「和らぐ」や「気持ちいい」といった人の感じ方に軸を置いてデザインを決めていくことができます。
0から想像力を膨らまして形づくっていくことが「意匠設計」の特徴ともいえるでしょう。
その一方、「構造設計」は定量的であるということができ、アウトプットする際には数量が必ず紐づいてます。
0から形作っていくのではなく、「意匠設計」に携わる建築士が作成した基本設計図をもとに適切な構造設計図を作成していきます。

意匠設計と構造設計の違い③設計に携わる期間が異なる

「意匠設計」に携わる建築士は、最初期から建築物に携わり、竣工後のメンテナンスまで一貫して管理監督を行います。
エンドユーザーである施主に対するアフターフォローも重要な仕事のひとつです。
そのため、どのような小さな建築物でも1年単位で携わることになるでしょう。
それに比べると「構造設計」に携わる建築士は、ひとつの建築物に携わる期間は短くなります。
基本的には、意匠設計者による基本設計図が完成した後に構造設計を行い、構造設計図の作成が終わるとその建築物に関わることはなくなります。

同じ設計でも仕事内容や求められるスキルは違う

いかがでしょうか。
「意匠設計」と「構造設計」では、仕事内容や求められるスキルが全く異なることが理解頂けたと思います。
建築設計に関する知識を深めて、ぜひ実際の業務に活かしてみてくださいね。

【建築士の仕事】意匠設計とは?仕事内容・資格などを解説

2020-12-21

意匠設計とは?

様々な造形美で人々を魅了する建築物。

その中には奇抜で人の心に強く印象を残すものもあれば、どこか懐かしい柔らかい雰囲気を感じさせれるものもあります。
そんな建築設計の仕事は大きく分けて意匠設計、設備設計、構造設計の3つに分かれています。
その中でも意匠設計の仕事は、まさに建築設計の中の花形と呼べるものでしょう。

意匠設計に携わる建築士には、資格を有した建築の専門家というだけではなく、人々の心に訴えかけるような意匠デザインを生み出す能力が必要とされます。
つまり、実用的要求で美的な要求に対応して建築の形態を決定することこそ、意匠設計の本質といえるでしょう。
扱う問題の範囲は、敷地の条件や周辺の環境に対応する建物配置という全体の問題から、個々の空間の構成、その内部の造作、装飾といった部分の問題まで多岐に亘ります。

そういった問題を解決するため、画地の環境・地域特性を踏まえて、お客様の要望を反映させた実用性の高い美しい建築物を計画し、平面図・立面図などの設計図を作成していきます

今回は意匠設計の仕事の内容の詳細とその魅力について、解説・紹介していきます。

大きく分けて基本設計と詳細設計に分かれる

意匠設計の具体的な業務は、大きく基本設計と実施(詳細)設計に分かれます。

基本設計は依頼主から要望を聞き取り、それを反映して基本的な形状や導線や間取りを考えることで、外観、階数、高さ、大枠の面積も基本設計で決定します。

もちろんある程度の変化の自由度は残しておいた上で、設計の方針を決めることが目的です。

基本設計の段階においては、何度も打合せを重ね、依頼主の要望を汲み取り、設計計画に反映させていくことが必要となります。

依頼主のイメージを具体化するために、カタログや画像などを用いたり、簡単な平面プランを作成して意見をすり合わせていくことが重要です。

依頼主の要望を現実的な計画や条件の中に落とし込んでいくことが求められます。

十分にヒアリングとカウンセリングを行い、施主が基本設計の内容に合意して契約した後、実施(詳細)設計に入ります。

実施(詳細)設計は構造躯体の組み方からコンセントやスイッチの高さや位置に至るまで工事する全てのものについて決定し、図面とします。

とにかく全て決定するため、詳細設計に費やす時間は基本設計に対するものよりも長くなります。

また、建築の細かい収まりなども熟知していることも必要です。

意匠設計のやりがいと魅力

建築物全体をデザインし、プロジェクト全体のまとめ役を行う意匠設計はとても大変な仕事です。

しかしその分、無事引き渡されたときは大きなやりがいを感じるものです。

設計の中で依頼主の要望を聞き取るところから、詳細を詰めるところまで長きに渡ってプロジェクトに関わるため、建築は意匠設計者にかかっています。

そのため、プロジェクトの引渡しが完了した時は大きな達成感を得られます。

小規模の住宅の場合でも、そこに何十年も住むことになる依頼主にとってたった一人の設計者である意匠設計者は、ずっと感謝されることになる存在です。

意匠設計者はやりがいや魅力も十分あるといえるでしょう。

意匠設計の職場とは

意匠設計に携わる建築士は、ゼネコンやハウスメーカーなど大きな会社に所属している場合もありますが、一級建築士として独立し、建築事務所を構えている場合も多いです。様々な形態の働き方がありますが、意匠設計者の職場としては主に以下の4つが挙げられます。

[ハウスメーカー]

ハウスメーカーとは、戸建て住宅やアパートといった小規模の住宅を扱う会社です。
営業担当者と建設担当者がペアを組み、依頼主との打合せにあたります。
間取りやデザインの独創性は重要視されず、設計にかける時間は少なくなりがちであるという特徴があります。
また設計者は複数の案件を抱えるため、一つのものに集中するというより、マルチタスクを処理できる要領の良さが求められます。

[組織設計事務所]

数十人~数百人といった規模の設計専門会社です。
東京スカイツリー、国立競技場など時代を代表する大規模な建築物をチームでまとめあげます。
組織設計事務所で働くメリットとしては、多くの知識と経験、人材を有しており、ビックプロジェクトに関われるという点。
責任は重大ですが、その分やりがいも十分に感じられます。
デメリットとしては、自分の裁量で仕事をできるまでには、その会社のなかでかなり上のポジションまで行く必要があります。
それまでは、部分の設計などに限られたり、指示された内容にそって設計業務をすることが中心になります。

[建設会社]

いわゆるゼネコンをはじめとした大手の建設会社でも、意匠設計者は活躍しています。
利益を出すことを前提とした設計を行うところもあれば、組織設計事務所のように自由さを兼ね備えている企業もあります。
会社によって様々な社風があるため、入社する際に自分の求める働き方に合うかどうかを吟味する必要があります。

[アトリエ事務所]

「建築家」と呼ばれる有名建築設計者が主催するのがアトリエ事務所です。
各事務所がそれぞれの個性を前面に出しながら仕事にあたっていることが大きな特徴です。
少数から大人数の事務所まであり、斬新な設計に携われるのも魅力のひとつ。
情熱を持ちながら夢に向かい設計を行います。
ただ、1所員としての立場では、給与や待遇といった面では一般企業にくらべかなり低い水準のところが多いのが現状です。
経験やスキルを身に着けるための修行という意味で勤務している若手の方も多いので、ある程度経験した後は独立していく方が殆どです。

 

いかがでしょうか?
一口に意匠設計者と言っても、様々な働き方があることがお分かり頂けたと思います。
建築の醍醐味を味わうことができる意匠設計。
是非目指してみてくださいね。

建築業界の仕事(7)「女性建築士の現状は?」

2017-01-18

従来、建築士というと「男性の仕事」というイメージが強く、
女性にとっては敷居が高い世界でした。
しかし平成27年の2級建築士資格試験の合格者の男女比は
男性が約65%、女性が約35%となっており、女性合格者が
全体の約3分の1を占める結果に。

また、世界を舞台に仕事をする女性建築家も増えてきており、
女性の活躍が顕著です
そこで今回は、女性建築士の現状について、みていきます。

 

●女性ならではの感性や視点が強み

女性建築士が増えている理由のひとつに、女性ならではの感性や視点が
評価されていることが挙げられます。
建築士への依頼のなかでも最も多い戸建住宅の設計です。
戸建住宅の設計においては、日々家事や育児に励む女性にとって、
いかに機能的で居心地の良い空間であるかが大切です。
そういった点から考えると、実際に「現役妻やママ」であることも多い
女性建築家の方が、家事をスムーズに行うための導線の作りや、使い
やすいキッチンの構造などを身を以て知っています。
また、同じ立場である女性の声に、親身になって耳をかたむけてくれる
のも多いでしょう。
こういった女性ならではの視点や感性が生きることで、デザイン性だけ
でなく、機能性の高く過ごしやすい住宅が完成するのです。

 

●きめ細やかな対応力

女性建築士が求められるもうひとつの理由が、きめ細やかで丁寧な対応力です。
もちろん、男性でも丁寧な仕事をする建築士はたくさんいます。
しかし些細なことに気が付いたり、丁寧な心配りという面は、女性の方が
得意とするところです。
また、女性ならではの柔らかい雰囲気は「こんなことを聞いたら怒られるかも」
というような些細な疑問も相談しやすく、実際に工務店の男性スタッフや大工
さんになかなか分かってもらえなかったイメージもすぐに察して貰えて非常に
助かったといったクライアントの声もたくさん聞かれます。
女性ならではきめ細やかな配慮は、依頼主の満足度に大きな影響を与えるもの
なのです。

いかがでしょうか?
他の職種であればマイナスになりがちな結婚や出産でのブランクも、
建築士という職業においては、仕事の幅を広げることにつながります。

次回は建築士の仕事の将来性について、みていきましょう。

建築業界の仕事(5)「建築士の仕事のやりがいって何?」

2016-12-25

住宅やホテル、博物館や図書館など、街にある建築物はすべて、
建築士によって設計され、形になったものです。
あらゆる街の情景は、建築士がいなければ成り立ちません。
建築士は、それだけやりがいに溢れた仕事だと言えます。
今回はそんな建築士のやりがいや魅力について詳しくみて
いきましょう。

●建築依頼主の夢に寄り添う

クライアントの依頼で一番多いのが、マイホームの設計です。
マイホームは一生に一度の大きな買い物ですから、依頼主の
夢や希望が詰まっています。彼らは建築士を信頼し、
自分たちの理想やこだわりなどを伝えてくるはずです。
建築士は依頼主の希望を、自らのアイデアによって具体的な
形に変えていきます。
理想と現実の折り合いをつけることは一筋縄ではいきません。
しかし、それを乗り越えて依頼主に満足してもらえる住宅を
完成させれば、心からの感謝の言葉に出会えるはずです。
建築士は自分の知識ひとつで、人を笑顔にすることができる
仕事なのです。

 

●無から建築物を造る喜び

どんなデザインも、最初は建築士の頭の中にしか存在しません。
「このような構造にすれば、利用する人が寛げる空間になる」とか、
「スペースをこのように使えば、より開放的なリビングになる」とか、
自分の思いを建築物に込めることができるのも、無からもの造りに
携わる建築士の仕事の醍醐味です。
そのような思いが、多くの人の手によって実際に建設されるのを
目にするのは、何度経験しても楽しいものです。
そのワクワク感が「もっといいものを生み出そう」という意欲に
繋がります。デザインには正解がないからこそ、建築士は楽しみ
ながら頭をひねり、新しいものを追及していきます。

 

●街づくりという重要な役割を担う

冒頭で述べたように、都市や街のあらゆる建築物は、建築士の図面を
もとに生み出されます。建築士の仕事は手がける建築物を通して、
人の流れまで変えることができる、社会的に重要な役割を担うもの
なのです。
特に市民ホールや図書館、博物館などの公共施設に携わる場合は、
設計次第でその地域に住む人の憩いの場となるなど、街の活性化に
繋がることもあり得ます。
建築士は、建物が建つ街全体に大きな影響力を持つ仕事だと言える
でしょう。

 

いかがでしょうか?
このようにして建築士が生み出した建築物は、何十年もの間、人々の
暮らしに寄り添っていきます。
新しいものが生まれては消えていく世の中で、それは大きな魅力です。
たくさんのやりがいがある仕事ですが、もちろん大変なことも多くあります。

次回は、建築士の仕事の苦労についてみていきます。

建築業界の仕事(4)「建築士に向いているのは、どんな人?」 

2016-12-20

建築士に必要な適性とは・・・

建築士は資格を取得してもなお、たゆまぬ努力が必要な仕事だといえます。
それでは、どんな性質の人が建築士に向いているのでしょうか。
今回は建築士の適性についてお話したいと思います。

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●美術的センスがある人

建築士の仕事をする上で最も求められるのは、美術的なセンスです。
建築物の造形や内装や外装、カラーリングなど、ディティールに至る
までのすべてが、建築士の腕一つに委ねられると言っても過言では
ありません。
センスというと持って生まれたものと思われがちですが、努力に
よっていくらでも磨くことができます。
過去~現在に至るまでの様々な建築物はもちろん、絵画や彫刻など
様々な芸術や哲学に触れることで感性は研ぎ澄まされてゆきます。
大切なのは、貪欲に知識を吸収しようとする姿勢です。

●数学や物理など、理系科目が得意な人

建築士の仕事には、色々な理系の知識が求められます。
構造力学は、建築物の安全性を確保する上で欠かせないものですし、
塗料や資材との関連で化学にも精通していなくてはなりません。
その他、地学や生物学などを熟知している必要もあります。
こういった幅広い学問への関心が高いことも、建築士には欠かせない
要素です。

●コミュニケーション能力が高い人

建築士は、室内にこもって製図をすることだけが仕事ではありません。
依頼主や施工業者と話し合いを重ねながら、より良い建築物を目指して
いくことも、建築士の欠かせない仕事の1つです。
そのためには、依頼主の希望を上手に聞きだしたり、施工業者とスムーズに
打合せを進めるコミュニケーション能力が不可欠です。
そういった意味では、人と関わるのが好きな人は、建築士に向いているでしょう。

●正義感が強く、社会的モラルが高い人

2005年、一級建築士が構造計算書を改ざんし、耐震性を偽装していた
ニュースがセンセーショナルに報じられました。
建築物は社会性を有するものだけに、建築士には社会的責任感も強く
要求されます。
地震が多発する日本では、耐震性を始めとした建築物の安全性の確保は
欠かせません。
建築士は建築業界の中核的存在として、強い倫理観を持って仕事に臨める
人でなくてはなりません。

いかがでしょうか?
こうやって見ていくと、社会の役に立ちたいと心から思える人こそ、
建築士向いているといえるかもしれません。
次回は、建築士の仕事のやりがいと苦労について解説していきます。

建築業界の仕事(3)「建築士になるには、どうすればいいの?」

2016-12-15

Hello world!

建築業界の仕事(2)「建築士には、どんな種類があるの?」  

2016-12-09

●建築士は国家資格が必要な仕事。

建築士とは、国家資格である建築士資格を有し、設計や監理を
仕事とする人のことを指します。
しかし、ひと口に建築士と言っても、資格が分かれており、
手がける建築物の種類に制限があります。
今回は建築士にはどのような資格があるのかを詳しくみていきましょう。

建築士の種類

●まずは「2級建築士」を目指そう

 2級建築士は、建築士を目指すなら、まず最初に目標にしたい資格です。
 戸建住宅や事務所の用途であれば、木造3階で1000㎡まで、
 鉄筋コンクリート造や鉄骨造でも300㎡までの建物を設計することができ、
 かなりの規模まで2級建築士資格で設計することが可能です。
 以前は無資格者でも図面作成業務に関わることができていましたが、
 耐震偽装事件を契機に建築士法が改正されてからは、建築士の責任を明確に
 することが求められるようになりました。
 そういった現状をふまえると、建設業界で長く設計業務に携わるためには、
 2級建築士資格の取得は必須だといえるでしょう。

 
●目標にしたい「1級建築士」

 上記のように、2級建築士でもかなりの規模までの建築物を設計できます。
 しかし、学校や病院、マンションなどの特殊建築物を設計するには、
 1級建築士の資格が必要です。ハウスメーカー以外に就職する場合は、
 最終的には1級建築士の資格取得を目標にしましょう。
 近年、不動産業界では一戸建ての需要が伸び悩んでいます。かつてのように
 「マイホーム」を持つことを目標にする人は少なくなり、マンション購入を
 選択する人が増加、都会ではタワーマンションの建設が相次いでいます。
 そんな中で、1級建築士は重要な役割を担っているといえるでしょう。
 合格率10%と非常に狭き門ではありますが、目標にしたい資格です。

 
●「一級建築士」の上位資格とは

 2009年、1級建築士の上位資格として、構造設備1級建築士と
 設備設計1級建築士資格が新設されました。
 構造設備1級建築士は、高さが60m越の建築物や鉄骨造で地上階数4階以上、
 もしくは、RC造かSRC造で高さが20m越の建築物のスペシャリスト、
 設備設計一級建築士は、階数が3階以上で5000㎡越の建築物の専門家です。
 これらの資格の新設により、上記の規模の建築物については、
 構造設備一級建築士と設備設計一級建築の関与が不可欠になりました。
 高度な知識が必須のため、いまだ有資格者が少なく、取得すれば一躍有用な
 人材となれるでしょう。
 建築物の安全性が問われる今、意匠設計に比べて裏方に回ることが多かった
 構造や設備に関わる設計者の役割が非常に注目されています。
 転職や独立をする場合にも、非常に有利に働くことは間違いありません。

 
●力試しに受験したい「木造建築士」

 木造の建築物限定の資格として、木造建築士という資格もあります。
 その名の通り、携われるのは木造の建築物に限られる上、1~2階建てで
 300㎡以下という構造制限もあるため、かなり限定された範囲の建築物に
 しか携わることができません。
 そのため、有資格者もとても少ないのが現状です。しかし合格率は40%と
 高いので、勉強がてら力試しで受験するのも良いかもしれません。
 
いかがでしょうか?
ひと口に「建築士」といっても、様々な資格があり、携われる建築物にも制限が
あることが理解いただけたかと思います。
次回は建築士の目指し方について解説していきます。

建築業界の仕事(1)「建築士はどんな仕事をしているの?」  

2016-11-30

戸建て住宅から高層ビル、公共施設や商業施設まで、日常生活で
目に入るものの殆どが建築物といっても過言ではないでしょう。
そんな建築物をつくる仕事の中心にいるのが建築士です。

しかし、建築士と一言でいっても実際は様々な仕事内容がありますので、
今回はそのあたりを少し整理していきたいと思います。

設計図イメージ

●建築士の仕事は「設計」と「監理」

建築士の仕事は大きく「設計」と「監理」の2つに分けられます。

まずひとつ目の「設計」は、依頼主の必要としている建築物を
具体的化する作業です。
依頼主から建築の目的や用途・必要な機能や性能などをヒアリングし、
それを整理した上で、平面プランから高さ方向の断面プラン、外観の
意匠プランを作っていきます。

この段階は、一般的に企画設計とよばれ、次に説明する実施設計と
区別されます。
その実施設計は、提案したプランを依頼主が了解した後、実際に
建築するために必要な設計作業のことで、各部分の詳細な図面を
描いて施工会社に引き継ぎます。

そしてもうひとつの「監理」とは、実際の建築物の品質や仕上がりを
設計通りに実現するための作業で、工事が図面の指示通りに行われて
いるか、寸法などの精度が出ているかを現場で確認し、状況に応じて
修正や変更を行い完成までクオリティのコントロールをする仕事です。

個人が建てるマイホームはもちろん、企業が建設するオフィスビルで
あっても、依頼主にはデザインや内装に対する夢やこだわりがあります。
依頼主と話し合いを重ねながら、そういった希望を実現するための
アイデアを提供し、時には安全性や予算にも配慮しながら、具体的に
計画を立てていくのが建築士の大切な仕事です。

そして図面が完成したら、工事が計画通りにきちんと行われているかを、
設計者の立場から確認することも重要な業務です。
工事が正しく行われていない場合は、施工者に注意を喚起し、指示に
従わない場合は、依頼主に報告します。
施工者が建築費を安く上げて不当な利益を得たり、手抜き工事などの
不正を防ぐことも、建築士に求められる役割なのです。

それでは、建築士を目指すにはどういった方法があるのか、
次回はそのあたりを具体的にお話ししたいと思います。

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