インテリア業界の動向や人気の仕事内容について解説します!
インテリア業界はどのような仕組みになっているの?
インテリア業界で働きたい方にまず行って頂きたいのが業界研究です。
インテリア業界がどのような仕組みになっているのかをしっかり理解し、業界への認識を深めていきましょう。
テーブルや椅子、ベッドなどの様々なインテリアエレメンツは、まず「インテリアメーカーに」よってデザイン・企画されます。
そして「インテリアメーカー」でデザイン・企画された様々なインテリアは、「製造企業」によって製作され、再び「インテリアメーカー」に納品されます。
その後「インテリアメーカー」が「小売店」にインテリア商品を販売し、「小売店」からエンドユーザーである「消費者」に届けられます。
インテリア業界にはインテリア商品を専門的に取り扱う製造企業や小売店がありますが、今回は「インテリアメーカー」を中心に説明していきます。
インテリアメーカーは大きく分けて「日系」と「外資系」、または「家具中心のメーカー」と「雑貨中心のメーカー」に分類することが可能です。
日系
日系企業で代表的なものには、「ニトリ」と「良品計画」が挙げられます。
こういった大手企業の場合は、商品の企画から製造・流通、そして販売までをノンストップで行っている場合が殆どです。
インテリア業界には大手以外の中小企業も多く、各々がある分野に特化して企業のオリジナリティを武器にしていることが特徴です。
こういった企業の中でも、程良いレトロ感とぬくもりのある色遣いが魅力の「カンディハウス」や抜群の座り心地と機能性、デザインの美しさを売りにしている「イリア」等が代表的なものであると言えます。
外資系メーカー
外資系企業で知名度が高い企業としては、「イケア」が挙げられます。
国内のシェアに関しては日系企業には及びませんが、国内のメーカーでは見かけないような海外ならではのデザインや鮮やかなカラーを用いた商品が多く揃うというのが特徴です。
サイズ感も比較的大きめの商品がラインナップされています。
家具中心のメーカー
家具を中心に扱う企業としては、「ニトリ」や「オカムラ」、「カッシーナ・イクスシー」などが挙げられます。
ベッドやソファ、椅子等のサイズに関して、バリエーションが豊富であるという特徴があります。
実店舗では来店したお客様がイメージしやすいよう、リビングルームやベッドルームなどの様々な生活シーンを再現したり、季節ごとにインテリアコーディネートを変えてディスプレイをしている企業も多くあります。
雑貨中心のメーカー
雑貨をメインに扱っている企業には、「良品計画」や「アイリスオーヤマ」、「ナフコ」が挙げられます。
バス用品やキッチン用品、洗濯用品等の小物関連の取り扱いが多いのも特徴です。
「雑貨中心のメーカー」は、殆どの企業がプライベートブランドを展開しています。
各企業が各々の特徴を活かし、様々な工夫を凝らした商品を生み出しています。
近年のインテリア業界の動向は?
それでは、近年のインテリア業界の動向は、どのように推移しているのでしょうか。
ここでは「インテリア業界の売上の推移」「インテリア業界の事業展開」「デジタル化の拡大」という3つの観点からみていきましょう。
インテリア業界の売上の推移
一般社団法人日本家具産業振興会が算出した家具小売業時系列データによると、家具やオフィス用品業界はの売上は、1980年代~1990年代にかけては市場規模が2兆円を超えていたものの、2000年頃に1兆円台まで下がり、2009年に起きたリーマンショックの影響で大幅に下落しました。
しかし2011年に発生した東日本大震災の後は、震災によって破損した家具を買い換える人が急増したため、市場規模はV字回復を見せました。
その後も売上は右肩上がりで推移し、2020年から新型コロナウイルスの感染が拡大したことによる巣ごもり需要やリモートワークの増加を背景に、家具やインテリアなどの売り上げは堅調に推移しています。帝国データバンクの調査によれば、2020年の国内の家具・インテリア販売市場は、前年度比+6.1%で1兆5000億円となっています。
生活スタイルの変化に伴う影響
近年は超高齢化社会が進行している影響や室内で長く快適に過ごしたいという需要から、リフォームの件数が増えてきています。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴って急増しているリモートワークの増加に伴い、屋内で快適に過ごすための様々なアイテムが登場してきています。
近年の生活スタイルの変化によって、商品ニーズやデザインは大きく変容してきたと言えるでしょう。
商品ニーズの変化
従来は家具といえば、高級感のあるアイテムに対する需要が多くを占めていました。
しかし近年、家具の需要は高級があることよりも、低価格でありながら質の良いアイテムを求める傾向が強くなってきています。
コスパが良く、質も良いアイテムを多数を展開している「ニトリ」や「イケア」、「良品計画」は幅広い世代に人気があるメーカーです。
また最近の傾向として、ソファーやベッドといったサイズ感の大きな家具を購入する需要が減り、室内で快適に過ごすために必要な小物等の需要が増加しています。
そのような家具の例として、在宅勤務をしても体が疲れない椅子や机などが筆頭に挙げられます。
ユニバーサルデザインの浸透
ユニバーサルデザインとは、「状況や年齢、能力などに関わらず、多くの人が使用しやすいように、建物や環境・製品をデザインする」という考えのことを指します。
近年は高齢者や障害者の安心・安全な日常生活をサポートする家具の開発が進められており、超高齢化社会である日本においてはお風呂での転倒を防ぐアイテムや階段の上り下りを補助するアイテムなど、バリアフリーへの配慮が大切になってきています。この傾向はますます強まると考えられています。
インテリア業界の事業展開
インテリア業界では、どのような事業展開が行われているのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
M&A
近年は売上向上の施策の1つとして、M&Aを行う企業も増えてきました。
最近の傾向として、建築・インテリアといった同業間でのM&Aだけではなく、異業間でのM&Aを行う事例が増加しています。
代表的な例として、2020年4月に中小企業向けのビジネスフォンやOA機器、セキュリティーシステムやウェブサイトの作成サービスを行う企業「フォーバル」がオフィス機器やオフィス家具、文房具用品の販売・保守の事業を行っている「えすみ」の全株式を取得して、完全子会社化を行いました。
また2020年11月には「ニトリ」が「島忠」の買収を行い、2021年9月には「大塚家具」が大手家電メーカーの「ヤマダホールディングス」の傘下に入りました。
このように今後も異業界とのM&Aを行いつつ、収益担保を目指して事業展開を行う企業が増加していくと考えられます。
海外展開
M&Aだけでに限らず、海外展開を行いながら業績を伸ばしている企業も増えてきています。
例えばコストパフォーマンスの高さが魅力の「ニトリ」や「良品計画」は、海外展開を積極的に行っており、順調に業績を伸ばしています。
「ニトリ」は、生産拠点をインドネシアやベトナムに置き、現在は中国や台湾、東南アジアやアメリカに店舗を出店しています。
「良品計画」は、1991年に「MUJI」と店名を変えて、イギリスのロンドンに初の海外店舗をオープンし、2019年2月の時点で全975店舗のうち53%が海外での展開となっています。
海外ならではのデザインを武器に「イケア」が日本で幅広い人気を獲得しているのと同様に、今後も日本らしさを売りにしたインテリア商品を海外店舗で展開していく企業は増えていくと予想されています。
新ブランドの立ち上げ
インテリアメーカーの中には、新ブランドを立ち上げて業績を伸ばす企業も増加傾向にあります。
「ニトリ」は2011年に「毎日でも立ち寄れる店」というコンセプトの「デコホーム」というインテリア雑貨の新ブランドを立ち上げました。「ニトリ」はさらに、2019年に「N+」というアパレルブランドを立ち上げて売上を伸ばしてきています。
インテリア雑貨メーカーの「FRANCFRANC」は、2019年に新ブランド「モダンワークス(MODERN WORKS)」を立ち上げました。「モダンワークス(MODERN WORKS)」はデザインや品質、価格のバランスを重視した家具ブランドとして注目を集めています。
消費者のニーズを汲み取り、メーカーが従来持っている特徴を活かしながら、新ブランドの展開を行っている企業が順調に業績を伸ばしています。
今後も様々なメーカーから、多様化するニーズに対応したブランドが生まれると考えられています。
デジタル化の拡大
様々な業界でIT化が進んでいる現在、比較的大きなサイズの商品が多いインテリア業界では持ち運びの利便性を鑑み、デジタル化を推進している企業が増加してきています。
それでは、どのような形でデジタル化が推進されているのかをみていきましょう。
ECサイトの活用で手軽に買い物ができる
近年はECサイトを使って商品を購入する機会が増えてきており、その便利さから更なる活用が期待されています。
実店舗での販売は行わずに、ECサイトに特化した「LOWYA」という新会社も誕生しました。
ネット通販だけを行うことにより、店舗の人件費等を抑えることが可能となり、コストパフォーマンが高く品質の良い商品の販売ができるようになってきました。
ECサイトの活用例としては、実際の店舗で実物の家具等を確認した後に、ECサイトで商品を購入させる仕組みで業績を伸ばしている企業もあります。
「ニトリ」では「手ぶらdeショッピング」というサービスを開始しており、「ニトリ」のアプリで商品のバーコードをスキャンするとその商品が買い物リストに追加され、注文が可能となるという新たな仕組みで注目を集めています。従来は商品を購入するには、店舗で自分で商品をレジまで運び、配送してもらったり自分で持ち帰るという流れが必要でしたが、「手ぶらdeショッピング」を利用すれば、大きなサイズの商品を運んだり配送手続きに関する手間を省く事ができます。
VRを使用し部屋のシミュレーションが可能に
VRとは、特殊な機械を装着し、仮想空間の体験が可能となるサービスのことを指します。
VRは従来は主にゲーム業界等で扱われていましたが、現在は建築やインテリア業界でも利用が進んでいます。
例えば「FRANCFRANC」青山店では、VRを用いて検討中の家具を自室に設置した場合のシミュレーションを行うことができるサービスを実施しています。
リモコン操作で場面が変わるため、様々な部屋に設置した様子を見ることが可能です。
VRを使用することで、今までは購入しないと分からなかった家具と部屋の様子がイメージし易くなり、顧客満足度も向上しています。
インテリア業界のおススメの仕事3選!
ここまでは、インテリア業界の仕組みや近年の動向をみてきました。
インテリア業界に対する理解も深まったところで、インテリア業界の仕事をみていきましょう。
今回はおススメの仕事を3つ説明していきます。
インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターは、住宅や店舗、商業施設などの内装や空間の監修を行うのが主な仕事です。
様々な家具や壁紙、カーテンなどをの選定や配置を行い、お客様の理想の空間を実現させます。
見た目の美しさはもちろんですが、生活導線などを確保し、過ごしやすさを考慮しながら仕事を行う必要があります。
インテリアコーディネーターは一般財団法人インテリア産業協会が主催する民間の資格でもあります。
インテリアコーディネーター資格試験は、学科試験である一次試験とプレゼンテーションと論文によって構成されるの二次試験に分かれており、実施されるのは年に一度。
一次と二次通しての合格率は22.5%と、狭き門となっています。
またインテリアコーディネーターの活躍の場は幅広く、家具メーカーや住宅メーカー、設計事務所、デザイン事務所と多岐に亘っていることから、今後も需要はさらに増えると予想されています。
【おススメ資格】インテリアコーディネーター資格とは?合格率や難易度を解説!
インテリアデザイナー
インテリアデザイナーは、室内空間の環境設計を行うことが主な仕事です。
仕事内容としてはインテリアコーディネーターと重なる部分も多く、家具や壁紙の決定も業務のひとつですが、インテリアデザイナーの場合はそれに加えて設計に関する知識が要求されます。設計図を作成する際は、CADを利用して行う場合が殆どです。
インテリアデザイナーはデザインするインテリアのコンセプトを決定し、造作や温度や色、それに加えて音の管理も行い、住宅だけでなく、オフィスや店舗、ホテルや学校といった様々な建築物の内装に深くかかわっています。
より精密で美しいインテリアデザインを行うためには、感性やセンスを磨き、建築士と密接にコミュニケーションをとることも必要となります。
インテリアデザイナーは日本デザインプランナー協会が主催する民間資格の名称でもあり、資格試験は2か月に1度のペースで行われています。
資格試験に合格するためには、様々な家具に関する商品知識の他、販売からデザイン技術に至るまで幅広い知識が必要となります。
インテリアデザイナーは主に設計事務所やデザイン事務所、住宅メーカーに勤務する場合が多いと言えます。
インテリアプランナー
インテリアプランナーもインテリアコーディネーターやインテリアデザイナーと同じく、様々な家具の選定を行いますが、他にもインテリア設計図を作成したり、工事を管理・監督することも大切な仕事です。インテリアプランナーは主に個人住宅やオフィス、そして商業施設の内装を手掛けます。
インテリアプランナーは利用する人の過ごしやすさや安全性にも気を配り、センスや感性だけでなく、あらゆる建築知識を持つことが必要とされます。
インテリアプランナー資格試験は財団法人建築技術教育普及センターが主催しており、試験は年に一度実施されています。
試験内容は学科試験と設計製図試験のふたつに分かれており、一級または二級、及び木造建築士資格を保持している場合は、学科試験が免除されます。
インテリア業界に対する理解を深めて仕事に役立てよう
いかがでしょうか?
今回はインテリア業界の仕組みや動向、おススメの仕事についてみてきました。
インテリア業界に対する知識を深めて、実際の業務に役立ててくださいね。