従来、建築士というと「男性の仕事」というイメージが強く、
女性にとっては敷居が高い世界でした。
しかし平成27年の2級建築士資格試験の合格者の男女比は
男性が約65%、女性が約35%となっており、女性合格者が
全体の約3分の1を占める結果に。
また、世界を舞台に仕事をする女性建築家も増えてきており、
女性の活躍が顕著です
そこで今回は、女性建築士の現状について、みていきます。
●女性ならではの感性や視点が強み
女性建築士が増えている理由のひとつに、女性ならではの感性や視点が
評価されていることが挙げられます。
建築士への依頼のなかでも最も多い戸建住宅の設計です。
戸建住宅の設計においては、日々家事や育児に励む女性にとって、
いかに機能的で居心地の良い空間であるかが大切です。
そういった点から考えると、実際に「現役妻やママ」であることも多い
女性建築家の方が、家事をスムーズに行うための導線の作りや、使い
やすいキッチンの構造などを身を以て知っています。
また、同じ立場である女性の声に、親身になって耳をかたむけてくれる
のも多いでしょう。
こういった女性ならではの視点や感性が生きることで、デザイン性だけ
でなく、機能性の高く過ごしやすい住宅が完成するのです。
●きめ細やかな対応力
女性建築士が求められるもうひとつの理由が、きめ細やかで丁寧な対応力です。
もちろん、男性でも丁寧な仕事をする建築士はたくさんいます。
しかし些細なことに気が付いたり、丁寧な心配りという面は、女性の方が
得意とするところです。
また、女性ならではの柔らかい雰囲気は「こんなことを聞いたら怒られるかも」
というような些細な疑問も相談しやすく、実際に工務店の男性スタッフや大工
さんになかなか分かってもらえなかったイメージもすぐに察して貰えて非常に
助かったといったクライアントの声もたくさん聞かれます。
女性ならではきめ細やかな配慮は、依頼主の満足度に大きな影響を与えるもの
なのです。
いかがでしょうか?
他の職種であればマイナスになりがちな結婚や出産でのブランクも、
建築士という職業においては、仕事の幅を広げることにつながります。
次回は建築士の仕事の将来性について、みていきましょう。